研究課題/領域番号 |
21H01314
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
松本 聡 九州工業大学, 大学院工学研究院, 教授 (10577282)
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研究分担者 |
小金丸 正明 鹿児島大学, 理工学域工学系, 准教授 (20416506)
新海 聡子 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 准教授 (90374785)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | パワーIC / 3次元IC / ヘテロジニアスインテフレーション / GaN |
研究実績の概要 |
GaN/Si(111)基板とSi(100)基板接合後、Si(111)基板の除去技術の検討を進めた。GaN/Si(111)基板は3インチ、Si(100)基板は4インチ基板を用い、以前我々の研究グループが開発したAl2O3を接着面とする表面活性化接合により室温で接着した。Si(111)基板はまず研削・研磨、CMPにより200μmまたは100μm程度まで薄層化し、その後ウエットエッチングまたはドライエッチング とウエットエッチングの組み合わせによりSi(111)を完全除去するプロセスを開発した。 ラマン分光法により、GaN/AlGaN界面の応力場を評価した。GaN層c面にレーザーを照射することで、GaN層c面内の2軸応力を算出した。その結果、GaN/AlGaN界面のGaN側に、最大275MPaの2軸圧縮応力が生じていることが分かった。また、GaN層a面にレーザーを照射することにより、AlGaN/i-GaN界面に圧縮応力が生じていることを明らかにした。Modified Embedded Atom Method(MEAM)ポテンシャルを適用した分子静力学解析を実施し、GaN/AlGaN界面の応力分布を評価した。現状のモデルでは構造緩和計算に問題があり、MEAMポテンシャルの適用方法に修正が必要であることが分かった。 排熱に適した構造をシミュレーションにより検討した結果、GaNパワーデバイスを発熱層とした場合、バンプを用いた接合を用いた場合の方がウエハー直接接合を用いた場合よりチップ温度が低く、スイッチング周波数40MHz以下では効率はほぼ同じであることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
GaN/Si(111)基板とSi(100)基板接合後、Si(111)基板の新規な除去プロセスを開発したこと、GaN/AlGaNのa面及びc面の応力をラマン分光法により評価したこと、MEAMポテンシャルを適用した分子静力学解析を着手し、課題を明らかにしたこと、排熱に適した咳そいう構造を明らかにしたこと等から順調に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
デバイスシミュレーションと有限要素法による熱応力解析により、耐圧、プロセス、構造による基板の反り・ひずみ・応力等のシミュレーションを行い、650V以上の耐圧を有するGaNパワーデバイスとその基板構造を明らかにする。また、作製した基板を用いて断面のラマン計測と有限要素法による応力解析を組み合わせて応力や反りの評価を試みる。これらの結果を上記シミュレーションに反映する。 本年度開発したGaN/Si(111)基板とSi(100)基板接合後のSi(111)基板エッチング技術をもとに、GaN buffer層の除去技術を確立する。さらにGaNパワーデバイスとSiデバイスを電気的に接続するためのThrough Semiconductor Via(TSV)形成のためのエッチング技術を確立する。また、TSVが応力等へ与える影響、排熱効果やデバイス特性に与える影響をシミュレーションにより明らかにする。 来年度に向け、排熱効果や応力の影響を評価する ためのTEG(Test Element Group)の試作を行う。 4 点曲げ負荷下によりデバイスに応力を負荷し、その際の電気特性変動を評価する。
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