研究実績の概要 |
次世代通信技術Beyond 5G, 6Gでは、キャリア周波数は100GHz以上が想定されており、その周波数での導波管やバンドパスフィルタ(BPF)、方向性結合機能(DC)導波管の実現が必要となるが、金属導波管では、サブmmの機械加工が必要で、実現は非常に困難である。そこで、自作のUV硬化樹脂(アクリル系樹脂)を用いた3DプリンタRECILSによるTHz帯導波管作製技術の確立を進めてきた。具体的には、[1] RECILS による1THz 導波管用造形技術の確立、[2] アクリル製造形面へのめっき技術の確立、[3] 導波管基本特性の評価、[4] サブミリ波帯DC、BPF の造形とその高周波化を進めた。 その結果、RECILSで造形した導波管の解像度、表面ラフネスは、加工法の最適化によって20μm程度に改善した。また、RECILSで造形されたアクリル製中空構造にめっきを施す技術を、長野県工業技術総合研究センター化学部、塚田理研工業(株)の協力で成功した。 作製した導波管の評価のため、UTC-PDをフォトミキサーとした挿入損失(IL)評価系を構築し、0.05dBの分解能を持つことを確認した。試作したストレート導波管を評価したところ、220~325GHz(Jバンド)全体で、IL<0.5 dB/inchが確認され、市販の低損失金属導波管と同程度のIL特性が確認された。また、ベント導波管、ねじれ導波管、スパイラス導波管を作製し、いずれもIL<1dB/inchが確認され、300GHz帯でのRECILS製導波管での伝搬特性は、市販の金属導波管よりも良好であった。さらに、JバンドでのBPF導波管を設計、作製し、同形状の金属製BPF導波管の特性とほぼ同じであることが確認できた。 以上の結果から、RECILSとめっき技術を組み合わせた300GHz帯導波管を確立し、当初計画以上の進展を得ることができた。 。
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