非対称な2つのピークからなる位相整合曲線を有するマルチQPM素子の片端面に第二高調波(SH光)波長のみを反射するダイクロイックミラーを直接蒸着し、SH光を反射する光ファイバ入出力型モジュールを用いて、QPSK変調を施したSバンドの信号光を光パラメトリッック増幅し、同時に発生するLバンド帯アイドラ光の信号品質をビット誤り率の測定により評価した。単一の素子を用いたEDFAの帯域外の光パラメトリック増幅において光通信に適用可能な信号品質が得られることを始めて実証することに成功した。 EDFAの帯域外の光パラメトリック増幅を用いて光ファイバの損失を補償して中継伝送が可能であることを実証した。前年度までにSバンド信号を中継増幅し、中継後はLバンド帯アイドラ光を伝送していたが、最終年度ではSバンド信号を直接受信できる受信系を準備しSMFで伝送された信号光を中継増幅後に再びSMFを伝送し信号品質を評価した。信号光を直接増幅した場合はアイドラ光を利用した場合のような位相共役効果による分散補償の効果は得られないが、適切な分散補償を行うことにより、Sバンド信号を直接OPAにより中継増幅することにより、EDFAの帯域外においても伝送距離の延伸が可能であることを始めて実証した。 多くの炭化水素系ガスは中赤外波長である3400nm帯において分子振動の基本振動による極めて強い吸収を示すが、高価で特殊な検出器が必要などの課題があり、より簡便な構成でのガスセンシングが望まれている。1700nm帯は3400nm帯の倍の光周波数に相当するため、倍音振動による吸収が期待できる。1400nmの波長可変レーザを1700nmへ変換して測定対象であるジメチルジスルフィドの吸収スペクトルを測定できたので、最も強い吸収が得られる1684nmを直接発生可能な半導体レーザを用いて、上記ガス濃度計測が可能であることを実証した。
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