研究課題/領域番号 |
21H01338
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
八木谷 聡 金沢大学, 電子情報通信学系, 教授 (30251937)
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研究分担者 |
尾崎 光紀 金沢大学, 電子情報通信学系, 准教授 (70422649)
井町 智彦 金沢大学, 先端宇宙理工学研究センター, 准教授 (60372489)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 高周波電磁波 / 3次元空間分布 / メタマテリアル / センサアレイ / 電磁環境計測 |
研究実績の概要 |
高周波(GHz帯)電磁波の3次元分布を立体的に計測・評価する手法を開発するために、まず入射波に垂直な平面での電磁界2次元分布を計測するための2次元メタサーフェスを設計した。 電磁波の3次元空間分布を計測するためには、センサとして用いる2次元メタサーフェスができるだけ入射波を乱さない(反射せずにそのまま透過させる)ことが必要である。そこで入射波を透過させる周波数選択板(FSS)の構造に着目し、複数のFSSを組み合わせることで、入射波をほぼ透過させながら同時に2次元平面上の電界分布を計測できる「透過型電磁波センサ」の構造を電磁界シミュレーションにより検討した。その結果、異なる形状(インダクタンス型とキャパシタンス型)のFSSを誘電体基板の表面と裏面に配置することにより、特定の周波数(共振周波数)において反射率を抑え、同時に透過率を大きくすることができることが分かった。FSSの単位セルサイズを変化させることで共振周波数を調整することが可能であり、例えばセルサイズを21 mm、基板厚を1.6 mmに設定した場合、1.5 GHzにおいて約70%の電力を透過させると同時に、入射波の電界2成分(水平・垂直偏波)の分布を計測できる2次元メタサーフェス構造(単位セル構造)を得ることができた。 得られた単位セル構造を30 cm×30 cmの2次元状に配列し、透過型電磁波センサ基板を設計した。FSS面上の複数個所に電圧計測部を設けて入射波の電界2次元分布を計測できる回路を設計して基板に組み込み、透過型電磁波センサを試作した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
透過型電磁波センサ基板の試作を行ったが、世界的な半導体不足の影響により、計測に使用するための電子部品の一部が年度内に入手できかったため、当初計画していた実測によるセンサの性能評価を行うことができなかった。当該部品は2022年5月には入手予定であり、その後速やかに実装・計測を実施できる見込みであるため、研究計画全体において支障はない。
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今後の研究の推進方策 |
まず前年度に試作した透過型電磁波センサ基板の計測性能を実測評価する。その結果も踏まえ、入射電磁波の2次元分布を計測するためのメタサーフェス構造の検討をさらに継続し、入射波をほぼそのまま透過させながら、2次元平面上の電界のみならず磁界分布も効率的に計測できる透過型電磁波センサを電磁界シミュレーションにより設計する。また、透過型電磁波センサを複数(奥行き30 cm程度の空間に3枚程度)重ねて配置することで、入射電磁波の3次元分布を同時に計測できるかどうかを定量的に評価・検討する。さらに、電磁界成分を計測する回路を設計・試作してセンサに組み込み、複数のセンサ基板を試作して電磁波の3次元分布計測性能を評価する。
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備考 |
・展示会に出展:「その場の電波環境が見えるシステム」 マイクロウェーブ展(MWE 2021)、パシフィコ横浜(2021年11月24~26日)
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