研究課題/領域番号 |
21H01344
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
松川 真美 同志社大学, 理工学部, 教授 (60288602)
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研究分担者 |
山上 宏 独立行政法人国立病院機構大阪医療センター(臨床研究センター), その他部局等, 機関長・部門長クラス (00455552)
小山 大介 同志社大学, 理工学部, 教授 (50401518)
斎藤 こずえ 奈良県立医科大学, 医学部, 病院教授 (80398429)
大崎 美穂 同志社大学, 理工学部, 教授 (30313927)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 頚動脈波 / 圧電センサ / 脳動脈 / 閉塞 / スクリーニング |
研究実績の概要 |
本研究の目的は頚動脈計測による救急用脳動脈閉塞評価手法の確立である。汎用で安価な超音波用圧電センサを用いた簡易なシステムで医師や専門技術者不要の頚動脈波計測を実現する。まずは頚動脈から頭蓋の領域に発生した閉塞による脈波波形変化を物理モデルで理解し、その特徴を利用して臨床で計測した閉塞患者の脈波波形の解析を進める。将来的には救急医療の現場でも利用可能な頭蓋内脳動脈の閉塞予備診断システムの開発につなげる。 初年度は透明な樹脂を用いて、高齢者のヒトと同程度の弾性率をもつ心臓から総頚動脈、内頚・外頚動脈にいたる血管樹モデルを作成した。また閉塞が生じやすい部位に閉塞率を変えながら同じ樹脂による閉塞を組み込んだ。PIVシステムを導入して、閉塞付近の流れの計測を行った。閉塞により生じる乱流の影響で、血流速度は閉塞部分ではなくその直後で最大に達することを見出した。この結果は超音波ドプラ法の結果を用いて行う内頚動脈の閉塞による狭窄率評価(NASCET)法では、正確に狭窄率が求まらない可能性を示唆している。 また、健常者および脳動脈閉塞患者の左右総頚動脈で、圧電センサを用いて脈波計測を開始した。20代から70代まで幅広い年代を対象とし、健常者30名及び患者23名のデータを取得した。人工血管モデルの閉塞計測結果を踏まえて、閉塞からの反射波のみに起因すると考えられる3つの波形特徴量に着目し、基本的な機械学習手法のロジスティック回帰分析を用いて閉塞の推定を開始した。なお、これらのヒト臨床計測は参画する各機関の倫理審査委員会の許可を得て行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナの影響によりPIV装置の購入が遅れたが、おおむね計画通りに進展している。
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今後の研究の推進方策 |
コロナ問題もほぼ終息したため、健常者や患者の計測をより推進させる。 これまでは閉塞からの反射波による波形変化のみに着目して特徴量を設定したが、物理現象だけでなくそのほかの特徴量(性別、年齢なども含む)を加えて、新たな機械学習の手法も検討し、より正確な推定が可能なシステム開発を目指す。また脳動脈内の閉塞の位置や患者の状態が推定に及ぼす影響を検討する。 今後は、救急医療への応用に向けて、実際に持ち運びが簡単な簡易計測システムの開発に着手する。また人工血管用の透明樹脂を用いて、模擬動脈瘤の開発も開始する。
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