研究課題
本年度は、試料設計・作製・評価を中心に行った。半導体レーザー構造試料結晶は、不純物や欠陥など外因的効果を抑えた、均一性の高いクリーンで高品質のものをエピ成長し用いた。高品質性は、研究室の独自技術である、PL絶対効率とスペクトルの温度変化計測で評価した。GaAs基板上の1030-1060nm波長帯の高品質InGaAs量子井戸活性層を用い、共振器構造として、単セクションリッジ型導波路レーザー構造を用いた。高速電気パルス電流注入のため、電極は小面積化が望ましいがワイヤボンディングの付着力との兼ね合いでサイズを調整し、電気容量を低減した。エピ成長には、利用実績のあるエピファブを主に用いた。研究室保有のMBE装置も一部併用し、コストと時間を節約した。試料加工には、研究室保有の装置のほか、ヘビーユーザーとして使い慣れている筑波NIMS微細加工プラットフォームのクリーンルーム施設群の半導体加工共用設備を活用した。作製された半導体レーザーは、まず、複数素子が連結したままのレーザーバーの状態で、マイクロ秒パルスでの定常LD特性(電流-電圧特性、電流-光出力特性、発振しきい値、微分効率、内部損失、抵抗など)評価計測で選別した。電気的制御で、高速非線形性を積極的に引き出すために、素子と電気回路あるいはRF伝送路(マイクロストリップ、同軸ケーブル、あるいは、RFコネクタ)の特性を考慮して様々な接続と駆動を試した。高出力のサブナノ秒電気パルスを作るため、駆動回路として、高速パルサーとRFアンプを組み合わせたモジュールを作製した。また、LDドライバICを用いた駆動回路を検討し、評価ボードを購入し、高速オシロスコープでテストした。
2: おおむね順調に進展している
コロナ禍の影響をおりこんで計画を立案し年度初めに交付申請書を提出したこと、大学や共用設備の利用に関して強い制限がかからなかったことのおかげで、概ね計画通り順調に進捗した。
試料作製の主要部分は本年度に済ませてあるので、今後、COVID-19感染流行の第7波が生じて、筑波NIMS微細加工プラットフォームのクリーンルーム施設群など半導体加工共用設備の利用に制限がかかっても、研究が遅延しないように対策済みである。可能な限り計画は前倒しで推進し、第7・8波が到来しても目的達成ができるようにする。
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