研究課題
ダイヤモンドMOSFETにおいて、現行のメタルマスクを介した選択成長技術を用いたソース・ドレイン領域の形成では、チャネル部に微細な荒れが生じるというプロセス課題があった。これに対し、本研究では、下地基板による成長速度差を用いた方法、面内方向にのみ成長するラテラル成長法、Niが炭素を固溶する性質を用いたダマシンライクな方法を提案し、その実証を進めた。その結果、いずれの方法でもMOSFETの動作実証に成功し、従来の特性よりも一桁近く、移動度を改善することに成功した。一方で、それぞれの手法の課題も見えてきた。下地基板による成長速度差を用いた方法においては、下地基板の不純物がエッチングされてプラズマ中に入り込み、ダイヤモンドに再ドープされることが分かった。このため、低濃度層を埋め込みたい場合には、pn制御が難しくなるという課題が見つかった。二つ目の面内方向にのみ成長するラテラル成長法においては、ホウ素濃度が高くなるとエッチングが起こるため、濃度に上限ができてしまい、低抵抗化に向けてはホウ素濃度の向上が大きな障壁となっている。三つ目のNiが炭素を固溶する性質を用いたダマシンライクな方法では、エッチング表面が荒れてしまうという課題が見えてきた。これらを応用した縦型MOSFETにも挑戦したが、これらの課題に関連したところで制限されてしまった。今後は、各プロセスを改善することと、既存の装置もうまく取り入れながら、ダイヤモンド半導体デバイス作製プロセスの最適化を目指す。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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Diamond and Related Materials
巻: 145 ページ: 111116~111116
10.1016/j.diamond.2024.111116