研究課題/領域番号 |
21H01366
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
黒澤 昌志 名古屋大学, 工学研究科, 講師 (40715439)
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研究分担者 |
片瀬 貴義 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 准教授 (90648388)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | IV族混晶 / ゲルマニウムスズ / シリコンスズ / ドーピング / 熱起電力 |
研究実績の概要 |
本年度得られた成果を以下の通りまとめる。
(1)ゲルマニウムスズ薄膜:分子線エピタキシー法によりn型ゲルマニウムスズ薄膜(スズ組成:3%、ドーパント: Sb)を形成した。パワーファクタのキャリア濃度依存性を調査したところ、5E19 cm-3において最大値(~30 μWcm-1K-2@室温)が得られることが分かった。n型のBiTe系薄膜の報告値(25 μWcm-1K-2)に匹敵する値である。低温での物性計測も進め、100 K以下の温度において、拡散理論では説明できない熱起電力の増大が認められた。結果として、パワーファクタは最大で10E3 μWcm-1K-2に到達した。
(2)シリコンスズ薄膜:シリコン中のスズ固溶限は0.1%と非常に低く、結晶成長過程でSn析出しやすい系である。リスクヘッジとして2つの結晶成長法(分子線エピタキシー法、スパッタリング法)を試みた。成膜レートの高速化によりSn析出をある程度抑制できることを見出した。特に、格子マッチング系(シリコンゲルマニウムバッファ上のシリコンスズ)においては、Sn析出せずに結晶成長が進行した結果、設計通りのSn導入(10%)を達成した。イオン注入を用いたn型ドーピングも行い、Hall電子濃度を10E18~10E20 cm-3の間で制御することにも成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、バルク並みのゲルマニウムスズ薄膜やシリコンスズ薄膜の形成に成功している。低温形成した薄膜でもバルクに匹敵するキャリア移動度が得られることを示した非常にインパクトある成果である。低温物性の計測も順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
物性計測システムを遠隔操作できるように環境整備を進めて、低温物性計測のスピードアップを図る。C含有のIV族混晶薄膜の形成にもトライし、物性解明を計画通り進める。
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