体積磁気ホログラムの三次元磁化分布の解明:走査型磁気光学(MO)顕微鏡について、高さを変えた測定時に位置決め精度がサブミクロンオーダーでずれている可能性があったため、走査方法などを検討して位置ずれの影響を低減した。その上で、二光束干渉法で記録した磁気フリンジを焦点位置の高さを変えながら観察し、得られた結果を、単純なモデルを用いて解析することで、フリンジ形状を推定できる可能性があることがわかった。 熱フォノン流制御光人工磁気格子の形成:磁気ホログラムの記録層に適した希土類鉄ガーネット(Bi:RIG)の開発のため、前年度に引き続き、その特性の組成依存性について検討した結果、Bi置換量を1.0以下に少なくすることでファラデー回転角自体は小さくなるものの、消衰係数が小さくできることから、深いホログラムの形勢に有利であることがわかった。またGGGを熱拡散層とした熱フォノン流制御光人工磁気格子について、100nm未満のBi:RIG層のファラデー回転角が小さい課題があったが、Bi:RIG層の結晶化温度を上げることにより特性改善できる可能性がわかった。それらをふまえ、GaのBi:RIG層への拡散を抑制するための拡散抑制層にTa2O5を用いた多層膜を作製し、予想通りのファラデー回転角が得られることがわかった。 体積磁気ホログラムのシフト多重性:コリニア干渉方式を用いて、参照光に種々のパターンを導入してクロストークの評価をした結果、適切なパターンを導入することで、クロストークの抑制ができることがわかった。これをふまえ、パターン化した参照光を用いてシフト多重記録を試みた結果、参照光をパターン化しない場合に比べエラー率が改善されることがわかった。
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