研究課題/領域番号 |
21H01370
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
水野 斎 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 助教 (60734837)
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研究分担者 |
柳 久雄 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 教授 (00220179)
山下 兼一 京都工芸繊維大学, 電気電子工学系, 教授 (00346115)
阪東 一毅 静岡大学, 理学部, 准教授 (50344867)
佐々木 史雄 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 上級主任研究員 (90222009)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | (チオフェン/フェニレン)コオリゴマー / マイクロキャビティ / 励起子ポラリトン / 結晶多形 |
研究実績の概要 |
本年度は,(チオフェン/フェニレン)コオリゴマー(TPCO)の結晶及びTPCO薄膜を用いたマイクロキャビティを作製し,それらの光学特性を比較することを目的とした。TPCOの一種であるBP2T-CNについては,結晶作製方法を変更することで,分子配向と結晶構造の異なる4種類の単結晶(結晶多形)を作製することに成功した。これら4種類のBP2T-CN結晶を活性層に用いたマイクロキャビティの角度分解反射スペクトル及びk空間イメージ測定により,それぞれのマイクロキャビティにおいて励起子ポラリトンが形成され,330-610 meVのラビ分裂エネルギーが得られた。また,BP2T-CN薄膜を用いたマイクロキャビティにおいては,750 meVと最も大きなラビ分裂エネルギーが得られた。これは,均質で平坦な薄膜において大きなラビ分裂エネルギーが得られたものであり,基板に対して最も寝た配向を取る結晶において最もラビ分裂エネルギーが得られるという予想とは異なる結果であった。結晶の厚み,結晶性及び平坦性を向上させることにより,基板に対して最も寝た配向を取る緑色発光結晶において最も大きなラビ分裂エネルギーが得られると考えられる。 TPCO結晶を含有したマイクロキャビティにおけるk空間イメージ測定においては,結晶中のクラックに起因するランダムレーザー発振またはTPCO結晶に由来する増幅自然放出光(ASE)が観測されており,まだポラリトンレーザー発振には至っていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
BP2T-CN結晶の作製方法を変更することで,分子配向と結晶構造が異なる4種類の単結晶を作製することができ,予想外の進展が見られた。BP2T-CN結晶及び薄膜を用いたマイクロキャビティにおいて励起子ポラリトンが形成されていることを実証した。しかし,BP2T-CNとBP1T-CNの結晶及び薄膜を活性層に用いたマイクロキャビティにおいては,ポラリトンレーザー発振を観測するには至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
大きなラビ分裂エネルギーを得るために必要である,結晶の厚み,結晶性及び平坦性を向上させるため,結晶作製方法に改善を加える。マイクロキャビティの作製については,ストップバンド位置,積層膜の積層数を変更すると共に,異なるミラー作製方法を試み,光学特性に与える影響を調べる。
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