研究課題/領域番号 |
21H01382
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
イン ユウ 群馬大学, 大学院理工学府, 教授 (10520124)
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研究分担者 |
難波 一輝 千葉大学, 大学院情報学研究院, 准教授 (60359594)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | シナプス素子 / 人工知能 / 相変化材料 |
研究実績の概要 |
最近、脳型システムが世界中で非常に注目されている。膨大な画像データのリアルタイムでの高速処理が強く求められ、この脳型システムの基幹部分である人工シナプスの超高速化は極めて重要な課題である。しかし、シナプス機能実証の研究報告例が多くある中、学習機能の高速化を目指した研究はほとんど報告されていない。本研究では、革新的相変化シナプス機能材料を探求する。新しい動作法により人工シナプスを高速化することを目的とした。 まず従来のGeTe材料に窒素を添加した素子の電気特性評価及び、酸素を添加した素子の特性などについて評価した。窒素の添加によってアモルファスから結晶への安定した相変化がしやすくなることが確認できた。よって適切な窒素の添加は素子の信頼性を向上させること考えられる。また、酸素を添加した場合、従来のGeTeと比べると結晶化温度が117℃高くなり、酸素の添加量と結晶化温度がほぼ比例していることが示された。 また、半値幅25ns、10nsと5nsの電圧パルスを素子に印加し、素子の動作特性を評価した。25nsを印加する場合は、2.2Vから4Vにかけて、結晶化により抵抗が2桁以上に徐々に低下した。その後、抵抗がアモルファス化により再び徐々に上がり、6Vに元の抵抗値に戻った。10nsを印加する場合は、動作に必要な電圧が高くなり、抵抗を低下させる開始電圧は2.6V程度であった。5nsといった高速パルスを印加すると、3Vから素子抵抗が少しずつ低下した。7.5V程度までに抵抗が最初の抵抗値より2桁ほど低下し、その後抵抗値が低抵抗状態に保持した。13Vから抵抗が再び上がり、15V程度で元の抵抗値に戻った。これにより、作製した素子にnsオーダーでの高速動作が可能であることが確認された。また、これらの電圧パルスを印加し、抵抗が徐々に変わることはシナプスの可塑性(学習機能)として利用できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
半導体不足により、購入する予定の装置の納期が遅延となった。また、コロナ感染とその後の後遺症により十分な研究時間が確保されなかった。
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今後の研究の推進方策 |
半導体生産の回復が見込まれるので、装置を購入できるようになる。また、体調管理に十分に気を付けて、研究時間を確保する。 以下の研究内容を進めていく予定である。 ・多層(超格子状)材料の作製 ・素子作製と評価 ・研究結果のまとめ
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