研究課題/領域番号 |
21H01405
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
岩波 光保 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 教授 (90359232)
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研究分担者 |
川端 雄一郎 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, 港湾空港技術研究所, グループ長 (10508625)
笠谷 貴史 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 海洋機能利用部門(海底資源センター), グループリーダー (90373456)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 大水深海域 / コンクリート / 水圧作用 / 外力作用 / 水の移動 |
研究実績の概要 |
本研究では、3つの項目について検討を行った。 ①コンクリートの水圧拘束圧縮載荷試験に関する検討:異なるコンクリート配合において高水圧作用下での水分の浸透速度や浸透量が供試体のひずみ挙動や水圧作用後の変状に与える影響を調べた。その結果、セメント硬化体に水分が浸透することによってひずみの緩和が生じることを示し、ひずみの緩和量と水分の浸透量が相関関係にあることを明らかにした。さらに、水圧作用後のセメント硬化体の変状を相対動弾性係数の測定、微細ひび割れの観察、細孔分析によって評価した結果、水の浸透度合いによって水圧作用後の変状が異なることを示した。 ②微細空隙構造に着目したコンクリート中の破壊進展過程評価に関する検討:高水圧下でのセメント硬化体の損傷をその場観察するため、マイクロフォーカスX線CT装置に設置可能で、かつX線を十分に透過できる特殊な耐圧容器を開発した。本容器を用いてX線CT装置で観察し、得られた画像を解析することで、高水圧下でのセメント硬化体のひずみ分布や液状水の浸透挙動を評価することができた。セメント硬化体の内部損傷リスクを評価するためには、外部圧力による硬化体への応力負荷に加え、不均質な水分移動による応力緩和も考慮する必要があることが分かった。 ③深海底におけるコンクリートの載荷試験に関する検討:深海でのコンクリート内部の挙動を可視化するための比抵抗電気探査装置の検討・製作を行った。回路は大電流による電気・電磁探査装置の送受信部の回路を基礎とし、小スケールの物体にも対応するため岩石実験でのノウハウを取り入れ、多電極による送受信ができるようにした。電極については、コンクリート供試体への接触の仕方によって接触抵抗が変化することが予測されたので、可能な限り電極となる炭素棒が供試体に接触する機構を試作して室内試験を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コンクリートの水圧拘束圧縮載荷試験については、コンクリートの力学挙動に及ぼす水圧の影響に関して基礎的かつ有益な知見を得ることができた。これらを査読付論文に投稿することができたことから、この研究項目については、おおむね順調に進展していると判断している。本研究の最終的なゴールと設定している深海底におけるコンクリートの載荷試験については、深海底でも動作可能な載荷機構に関する検討、計測・制御システムの確立に関する検討に着手することができた。チャレンジングなこの研究項目の初年度の研究進捗状況としては、概ね順調に進展していると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
コンクリートの水圧拘束圧縮載荷試験については、コンクリートの力学挙動に及ぼす水圧の影響に関して基礎的かつ有益な知見を得ることができたことから、今後も継続してデータの収集を継続するとともに、水圧作用下におけるコンクリートの力学挙動と損傷過程の解明を目指す。本研究の最終的なゴールと設定している深海底におけるコンクリートの載荷試験については、深海底でも動作可能な載荷機構や計測・制御システムの試作を進め、次年度、高水圧載荷装置を用いた室内実験を実施し、その有効性を確認する。
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