研究課題/領域番号 |
21H01406
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
斉藤 成彦 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (00324179)
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研究分担者 |
佐藤 賢之介 山梨大学, 大学院総合研究部, 助教 (20821606)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 数値解析 / 既設コンクリート構造物 / 性能予測 |
研究実績の概要 |
本年度は、メソスケールでの材料解析プログラムとマクロスケールでの構造解析プログラムの構築を行った。メソスケール材料解析では,アルカリシリカ反応(ASR)や凍害等に伴うコンクリートの損傷の評価,および腐食による鉄筋の損傷の空間分布と経時変化を扱うことを目指した.これらのコンクリートの劣化に伴う力学特性の変化は,主としてコンクリート中の微細ひび割れの発生・累積によるものと考えられることから,条件設定の明解な数値解析を利用して,微細な損傷とコンクリートの力学特性との関係を明らかにすることを試みた.これまで,コンクリートの微細なひび割れが,コンクリートのマクロな力学特性に及ぼす影響について基礎的な検討を行ってきており、微細なひび割れの空間分布の影響について検討を続けている。 マクロスケールでの構造解析では,構造物のライフタイムシミュレーションのための構造解析プラットフォームの精度向上に取り組んだ.様々な材料劣化によって生じた鋼材に腐食や破断がコンクリート構造物の耐荷性状に及ぼす影響を精度よく予測できるように、鋼材配置が耐荷性状に及ぼす影響やPC鋼材の破断が破壊性状に及ぼす影響等について検討を行った。鋼材配置の影響を解析的に検討することは、より合理的な設計に資するものであり、鉄筋コンクリート構造物の施工条件を緩和し、現場の生産性を向上させる可能性を示すことができた。 研究分担者は,ミクロスケール材料解析の実施に必要なコンクリートのミクロスケールにおける材料モデルの構築を目指す.コンクリートの相組成と空隙構造やその時間変化を把握するための基礎的実験を続けている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
メソスケール材料解析では、微細ひび割れがコンクリートのマクロな挙動に与える影響を概ね評価可能となった。定量的な評価のためには、メソスケールでの材料の力学モデルのキャリブレーションが必要であり、既往の実験データを調査するとともに、モデルコンクリートによる実験も検討中である。 マクロスケール構造解析では、鋼材の性状が構造物・部材の耐荷挙動に及ぼす影響を精度よく予測できるようにすることが目標となっており、様々な条件下での構造物・部材の耐荷性状や破壊挙動の評価について検討ケースを増やすことを続けている。 ミクロスケール材料解析については、研究分担者が基礎的実験を行ってコンクリートの相組成や空隙構造に関する基礎的データを蓄積するとともに、劣化因子のコンクリート中の物質移動解析モデルの構築に向けて準備を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
メソスケール材料解析とマクロスケール構造解析に関する検討に加えて、ミクロスケール材料解析に関する検討を本格的に実施する。ミクロスケール材料解析では、材料の微視的構造に基づき劣化因子の物質移動特性を決定することを目指し、セメントペーストやモルタルの微視的構造に関する基礎的データを蓄積し、拡散係数や移流速度のモデル化を試みる。劣化因子のコンクリート中の移流拡散現象の数値解析を検証するための実験も計画する。ミクロスケール材料解析の検証は困難であるが、既往の知見やパラメータ解析の実施等により、その確からしさの検証を試みる。
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