研究課題
本研究では,コンクリートの内部膨張反応に対してひび割れを主軸とした破壊力学的観点からのアプローチによって,ASR(アルカリシリカ反応)とDEF(遅延エトリンガイト生成)固有の膨張挙動・コンクリートの力学特性変化・鉄筋の付着性状の変化・RC部材レベルの構造性能の変化を,実験・解析的検討により評価することで,膨張劣化したコンクリート構造物の性能照査に必要な指標を提案することを目的とした研究を実施した.本研究における主たる成果を以下に示す.膨張メカニズムとしては,ASRでは骨材の岩種の違いによって骨材内部の膨張圧蓄積機構が異なり,さらにマクロな膨張異方性性状が大きく異なること解明した.DEFでは,実験で観察される膨張異方性を説明可能な膨張モデルとして,断面内で膨張相が時々刻々と変化する膨張モデルを提案した.力学特性の低下メカニズムとしては,従来のようにASRとDEFの膨張ひび割れを評価するのではなく,ひび割れが生じていない弾性領域に着目することで,力学特性の低下を説明可能な指標を提案した.また,力学的なひび割れによる力学特性への影響の違いを説明するコンセプトを構築した.鉄筋の付着性状の変化として,フランスとの国際共同研究としてASRとDEFの付着試験を実施し,内部膨張劣化による付着性状の変化に関する詳細な実験データを獲得するとともに,付着劣化のメカニズムを提案した.DEFにおいては世界で初めての付着劣化に関する実験データである.DEF劣化したRC部材の構造性能を実験的に評価し,健全なRC部材部材とは異なる破壊現象が生じることを確認した.上述した研究成果を横並びに整理することで,ひび割れの角度と密度によって膨張挙動と力学特性低下を推定可能な指標を提案した.
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 3件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 3件)
Cement & Concrete Composites
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