研究課題/領域番号 |
21H01409
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
河合 研至 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 教授 (90224716)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | コンクリート / 環境影響評価 / CO2排出 / 資源循環 / 混和材 |
研究実績の概要 |
一般的に,副産物である混和材は,環境負荷がないものとみなされるが,混和材をISO14044における共製品として取り扱い,高炉スラグ,フライアッシュに対して環境負荷を配分した場合の,環境影響評価との比較検討を行った.ここで,配分方法としては,生産量に応じて配分する重量配分,販売価格に応じて配分するコスト配分の二つの手法について検討した.なお,フライアッシュの主製品である電力に関しては,重量としてカウントできないため,電力量と等価な熱量を石炭質量に換算し,この石炭質量をもって電力の重量とみなした.その結果,重量配分を行った場合には,環境負荷の配分率が高炉スラグで18.5%(主製品が70.3%),フライアッシュで0.37%(主製品が97.9%)となり,コスト配分を行った場合には,環境負荷の配分率が高炉スラグで2.8%(主製品が96.4%),フライアッシュで0.05%(主製品が99.9%)となった.高炉スラグは比較的産出量が多いことから配分率の高い結果となっている.その一方で,フライアッシュでは重量配分,コスト配分のいずれにおいても環境負荷の配分率は低い結果を示した.この結果を用いて,ポルトランドセメント,高炉セメント,フライアッシュセメントに対し,混和材に環境負荷を配分しない場合,重量配分,コスト配分にて配分を行った場合について環境影響評価を行った.評価には,第3版日本版被害算定型影響評価手法を用いた.その結果,セメント製造における廃棄物活用が高く評価され,高炉スラグに対して環境負荷を重量配分した場合を除き,いずれも環境貢献となることが示された.高炉スラグ,フライアッシュのいずれの結果においても,環境負荷をコスト配分した場合の結果は配分を行わなかった場合と大きな相違がなく,重量配分の場合に配分なしとは大きな差が生じる結果となった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の影響により,関係機関等へのヒアリング調査によるインベントリデータの情報収集が困難となったことに伴い,研究の進捗が遅延した.翌年度において,文献等による情報収集を当初計画よりもさらに拡張して実施することにより,研究進捗の回復に努めたものの,全体としてやや遅れていると判断される.
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今後の研究の推進方策 |
研究の進捗が停滞してしまった時期に,研究の進め方を再検討し情報収集の実施を当初の計画よりもより多面的に行うことを検討した.これにより,インベントリデータの情報収集等はより広範に行えるものと考えており,さらに今後はヒアリング調査等による情報収集を計画的に実施できることが見込まれるため,研究を加速化できるものと考えている.
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