本研究の目的は,生体を模倣したらせん積層CFRPによる構造部材の脆性挙動の改善と粘り強い特性の獲得という視点から,部材の挙動と特性を明らかにし,損傷と破壊の形態と機構を検討することとする.これまでに小規模の試験体で,「構造部材」に対しては「部位」に相当する規模を検討した.本研究では次の段階に進み,生体模倣らせん積層CFRP構造部材を製作して,その挙動と特性を明らかにし,損傷と破壊の形態と機構を検討する.生体の外骨格に相当する部材として閉断面の箱形断面梁を製作して曲げ試験を実施する. 初年度は断面外寸を数cmとした箱形断面梁をプロトタイプとして,製作技術と試験計測の課題解消と実施可能条件の特定を経て,らせん積層CFRP箱形断面梁の挙動と特性を明らかにし,損傷と破壊の形態と機構を検討した. 初年度の検討を踏まえて,二年度目は箱形断面梁の積層構成を変えた試験体を複数製作し,試験計測および観察を通して,部材の挙動と特性を明らかにし,損傷と破壊の形態と機構を検討した.ポイントとしては,荷重-変位関係及びひずみ挙動,損傷・破壊形態,荷重集中点,座屈,断面つぶれ,に着目した.これらには,ステレオカメラ撮影による三次元デジタル画像相関法により,三次元で面的に変位を計測する方法も活用した.らせん積層CFRPによる箱形断面梁の複雑な四点曲げ変形挙動を確認した. 三年度目は,二年度目の箱形断面梁の検討と三次元デジタル画像相関法の試用を踏まえて,積層構成を変えた試験体を複数製作し,三次元デジタル画像相関法の精度向上と撮影面積拡大を図り,試験計測および観察を通して,部材の挙動と特性を明らかにし,損傷と破壊の形態と機構をより詳細に検討した.
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