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2022 年度 実績報告書

既設土木FRP構造物の外観評価と残存性能の関係性の解明

研究課題

研究課題/領域番号 21H01419
研究機関京都大学

研究代表者

北根 安雄  京都大学, 工学研究科, 准教授 (10444415)

研究分担者 橋本 国太郎  神戸大学, 工学研究科, 准教授 (40467452)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワードFRP / 劣化 / 残存性能 / 外観評価 / 非破壊試験
研究実績の概要

令和4年度は,約20年間暴露されたFRP歩道橋の床版および角パイプを対象部材とし,それらの外観評価,非破壊試験(打音検査,超音波探傷試験,透水試験など)を実施し,外観の劣化レベルと,非破壊検査結果との比較を行った.また,それらの部材から材料試験用のクーポンを切り出し,初期の材料物性値からの変化率を同定した.床版材料の引張試験は,0度方向(引抜方向)以外に,45度や90度方向も実施した.また,樹脂の化学変化を赤外線分光法にて調査し,SEM観察も実施した.それらの結果から,外観の変状レベルとの残存性能との対応関係を検討した.
床版材料の引張試験の結果から,床版の暴露面および下面ともに,0度方向の弾性率の変化は大きくなく,強度については,暴露面よりも下面の低下率が大きくなった.これは,紫外線の影響よりも水分の影響が大きいことを示している.また,90度方向では,弾性率の変化は大きくなかったが,暴露面・下面ともに強度の低下が大きく,特に暴露面において約40%程度の強度低下であった.45度引張によるせん断方向については,弾性率の変化はやはり大きくなかったが,強度低下が認められ,暴露面において約30%の低下であった.
角パイプの引張試験の結果から,暴露面・下面ともに弾性率の低下がみられ,暴露面では最大約20%,下面では最大15%の低下がみられた.また強度では,暴露面で最大57%,下面では最大35%の低下がみられた.
非破壊検査の打音での評価は,人間の聴覚で,暴露なしと暴露ありの違いは聞き分けられるが,データとして定量的に評価できるまでには至らなかった.樹脂の化学変化を赤外線分光法により調査した結果,樹脂の化学変化を明確にとらえることができなかった.超音波伝播速度については,0度方向の引張強度の低下傾向と関係性が見られるため,今後詳細な検討を行う予定である.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

令和4年度は,FRP歩道橋床版および角パイプの外観調査・非破壊検査と残存性能評価を実施した.材料試験は完了し,非破壊検査を打音・超音波探傷などを実施した.非破壊検査については,検査結果と残存性能との対応について,さらに詳細な考察が必要であり,R5年度に実施する予定である.外観評価については,外観からある程度,FRPの劣化は評価できるものの,繊維が露出していなくても強度が低下している場合もあるため,その場合の残存性能評価について今後検討が必要である.
R5年度以降も,現在の研究体制で研究を実施していくことで,当初の研究計画を達成する予定である.

今後の研究の推進方策

R5年度は,約20年間暴露されたFRP角パイプを対象部材とし,それらの外観評価劣化レベルと,材料試験との比較を行う.また,暴露部材と暴露なし部材の曲げ実験を行い,暴露後の残存性能を明らかにする.その結果をもとに,暴露部材の補修を行い,補修後の性能回復を曲げ実験より明らかにする.また,これまでに実施した非破壊検査結果を詳細に考察し,非破壊検査と力学的性能との関係を検討する.最後に,これまで3年間の研究結果から,外観の変状レベルとの残存性能との対応関係を検討し,外観観察または非破壊検査結果から,残存性能レベルの推定する方法を提案する.最後に,FRP構造物の維持管理において,構造性能を評価するための基礎データとなる定期点検項目および定期点検票の提案を行う予定である.

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] ハンドレイアップ成形GFRPの疲労強度および繰り返し載荷に伴う剛性低下の評価2022

    • 著者名/発表者名
      佐藤 顕彦,北根 安雄,日比 英輝,五井 良直,杉浦 邦征
    • 雑誌名

      土木学会論文集A1(構造・地震工学)

      巻: 78 ページ: II_54~II_65

    • DOI

      10.2208/jscejseee.78.5_II_54

    • 査読あり
  • [学会発表] 約20年間暴露されたGFRP引抜成形角パイプの 曲げ耐荷力実験2022

    • 著者名/発表者名
      辰田 翔太,北根 安雄,日比 英輝,佐藤 顕彦,杉浦 邦征,西﨑 到
    • 学会等名
      第9回FRP複合構造・橋梁に関するシンポジウム
  • [学会発表] ハンドレイアップ成形GFRPの疲労損傷が 構造部材の残存剛性に与える影響2022

    • 著者名/発表者名
      佐藤 顕彦,北根 安雄,杉浦 邦征,日比 英輝,五井 良直
    • 学会等名
      第9回FRP複合構造・橋梁に関するシンポジウム
  • [学会発表] Study on Evaluation of Residual Performance of GFRP Pultrusion Molded Materials with Long-term Exposure by Ultrasonic Testing2022

    • 著者名/発表者名
      Shota Tatsuta, Yasuo Kitane, Hideki Hibi, Kunitomo Sugiura
    • 学会等名
      The 8th Asia-Pacific Conference on FRP in Structures
    • 国際学会

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公開日: 2023-12-25  

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