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2022 年度 実績報告書

先進センシング技術を利用した光・音・振動の相互作用に基づく潜在き裂の非破壊評価

研究課題

研究課題/領域番号 21H01420
研究機関愛媛大学

研究代表者

中畑 和之  愛媛大学, 理工学研究科(工学系), 教授 (20380256)

研究分担者 林 高弘  大阪大学, 大学院工学研究科, 教授 (30324479)
都築 伸二  愛媛大学, 理工学研究科(工学系), 教授 (60236924)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード光超音波 / 振動 / 波動 / 閉じたき裂 / 全波形サンプリング処理
研究実績の概要

(1) 完全非接触超音波送受信の検証[中畑]
回折光学素子(DOE)の設計・製作し,意図した方向にコヒーレントな超音波が送信できることを検証しようと考えたが,想定以上のレーザー光出力を要し,光学システムにおけるファイバー部が焦げて長時間の使用に耐久できないことが判明した.当初の仕様を見直し,ファイバーではなくミラーによる光学システムを構築し,性能評価を2023年度に実施した.レーザの出力を維持したまま,試験片の任意の位置にレーザが照射でき,光超音波が受信できるようになった.
(2) 共振を併用したときのき裂の超音波検出性能の評価実験(広域検査の有効性検証)[中畑,林]
き裂振動の各フェイズで超音波を送信することで,透過計測を行った.振動による応力変化は微小であるため,透過波の微弱な変化を高感度に観察するための方法と指標を提案した.き裂がない部分では共振/非共振にかかわらず指標に変化がみられず,き裂があれば指標が変化する.この変化は,固有振動数と同じ周期で現れることから,き裂面の接触状態を反映している.加振器の入力を大きくすれば,透過波のフーリエ振幅も大きく変化することから,振動を併用した超音波検査は有用であることを示した.
(3)き裂のイメージング実験(局所検査の有効性検証)[中畑]
システム開発が遅れたため,この項目は2023年度に実施した.レーザを照射して複数の位置から光超音波を発生させ,固体内の欠陥から散乱された波動をアレイプローブの個々の素子で受信する.これらの波形をすべて保存しておき,ポスト処理でビーム集束を再構成する全波形サンプリング処理を適用する.レーザをスキャンし複数地点で光超音波を発振することで欠陥に集束ビームを送信でき,さらにアレイプローブを用いることで受信時にもビームの集束が可能となった.ここでは,固体内の人工欠陥に対して欠陥映像化を検証した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

光ファイバーによる光学システムの設計において、想定以上のレーザー光出力を要し、光学システムにおけるファイバー部が焦げて長時間の使用に耐久できないことが判明した。当初の仕様を見直し、検証実験をした上で、ファイバーではなくミラーによる光学システムを構築し、性能評価を実施する必要が生じた。
それ以外の項目については,概ね順調に進んでいる.

今後の研究の推進方策

広域検査の有効性検証については,当初の結合共振を利用した非線形性を期待していたが,高周波数は遠方では減衰してしまい,SNが不十分であった.そこで,透過波の微弱な変化を高感度に観察する方法に方針転換し,これがうまく機能した.これは査読論文として掲載されている.
また,局所検査の有効性検証は,装置の開発遅延のため2023年度に持ち越すが,装置がうまく動作するとして得られる波形を基にした映像化手法は既に開発済みであり,全体的な研究方針に変更はない.次年度は,局所検査に注力して実施していきたい.特に,無線化については振動と波動の両面から完成を見込む.

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2023 2022 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件)

  • [国際共同研究] Fraunhofer Institute IKTS(ドイツ)

    • 国名
      ドイツ
    • 外国機関名
      Fraunhofer Institute IKTS
  • [雑誌論文] 局所振動による超音波の振幅変化を利用した疲労き裂の非破壊検出の試み2023

    • 著者名/発表者名
      川崎藍流 , 小野寺慧 , 丸山泰蔵 , 高橋学 , 勝田順一 , 中畑和之
    • 雑誌名

      構造工学論文集

      巻: 69A ページ: 617-624

    • DOI

      10.11532/structcivil.69A.617

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Electromechanical Reciprocity Applied to the Sensing Properties of Guided Elastic Wave Transducers2022

    • 著者名/発表者名
      Bernd Koehler , Lars Schubert , Martin Barth , Kazuyuki Nakahata
    • 雑誌名

      Sensors

      巻: 23 ページ: 150

    • DOI

      10.3390/s23010150

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] 複数周波数MUSIC法を用いた超音波イメージングの実験的検討2022

    • 著者名/発表者名
      松尾 太聖 , 丸山 泰蔵 , 中畑 和之
    • 雑誌名

      計算数理工学論文集

      巻: 22 ページ: 19-221216

    • 査読あり
  • [学会発表] 局所欠陥共振の数値モデリングに関する基礎的検討2023

    • 著者名/発表者名
      谷平智紀, 小野寺慧, 丸山 泰蔵, 中畑 和之
    • 学会等名
      IIP2023 情報・知能・精密機器部門(IIP 部門)講演会
  • [学会発表] ゲート制御レーザー発振による低周波超音波の発生に関する基礎的検討2023

    • 著者名/発表者名
      中村蒼嗣, 山内謙汰, 丸山泰蔵, 中畑和之, 林高弘
    • 学会等名
      第30回超音波による非破壊評価シンポジウム
  • [学会発表] FITによる光音響波伝搬のための流体固体連成解析とその実験的検証2023

    • 著者名/発表者名
      中畑和之, 三木陽大, 丸山泰蔵
    • 学会等名
      第 43 回 超音波エレクトロニクスの基礎と応用に関するシンポジウム
  • [学会発表] 振動による疲労き裂の開閉口が超音波透過波形に及ぼす影響の測定2022

    • 著者名/発表者名
      川﨑藍流, 小野寺慧, 丸山泰蔵, 中畑和之
    • 学会等名
      土木学会全国大会第77回年次学術講演会
  • [学会発表] 非線形波動解析のためのEFITの適用に関する検討2022

    • 著者名/発表者名
      朝日 快佳, 丸山 泰蔵, 中畑 和之
    • 学会等名
      土木学会全国大会第77回年次学術講演会

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公開日: 2024-12-25  

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