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2022 年度 実績報告書

マイクロ波放射計による全球の洪水氾濫浸水域の迅速な推定手法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 21H01439
研究機関長崎大学

研究代表者

瀬戸 心太  長崎大学, 工学研究科, 准教授 (50533618)

研究分担者 久保田 拓志  国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 第一宇宙技術部門, 研究領域主幹 (90378927)
山崎 大  東京大学, 生産技術研究所, 准教授 (70736040)
山本 晃輔  国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 第一宇宙技術部門, 研究開発員 (50817179)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード洪水氾濫 / グローバル河川モデル / マイクロ波放射計 / 植生下の浸水
研究実績の概要

0.1度全球版GSMaWSについて、前年度までのGMI、SSMI/S(F16・F18)に加え、AMSR2を使ったGSMaWS長期処理を新たに実施し、リアルタイム運用・データ提供に向けた準備を行った。また、作成したGSMaWS地表水データを水文シミュレーション(Today’s Earth)結果と比較し、両者の傾向を解析した。
次に、高解像度全球版GSMaWSの試作を行った。空間分解能は15秒(約500m)、時間分解能は1日、対象期間は2018年である。GMI,AMSR2,SSMIS(F16,F18)の4機のマイクロ波放射計を利用した。高解像度化に必要な冠水可能性データの作成に、土地被覆データGLCNMO、Landsatの観測に基づく冠水頻度データ、シミュレーションに基づく氾濫頻度データを利用した。Landsatデータは植生下の浸水を見逃す可能性があり、シミュレーションは窪地貯留を十分に表現できないことから、両者のデータを併用し相互補完した。降水・雲が観測輝度温度に与える影響の補正手法が確立していないため、全球降水マップGSMaPを用いて降水強度0.1mm/h以上の場合を対象外とした。観測輝度温度から算出されるNDFIと冠水率の関係式が地表面物理温度に影響を受けることから、Today's Earthの地表面温度についての出力データを利用して1℃ごとに分類して、NDFI-冠水率関係式を作成した。上記の手法を適用してプロダクトを作成した。プロダクトの容量は1年あたり約5TBと大きく、また1年分の計算に約1か月を要した。
超高解像度の可視画像に水文地形データを組み合わせることにより、赤外画像を用いずに水面を検出する手法を開発した。検証の結果、従来捉えることの出来なかった小さな河川を面的に検出できることを確認した。これにより、冠水可能性データのさらなる高解像度・高精度化の可能性が示された

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の研究実施計画は、①高解像度全球版GSMaWSの作成手法の改良・拡張、②過去期間プロダクトの作成、③プロダクトの比較・検証であった。①については、大気補正の開発が遅れているものの、その他は順調にすすみ、②の過去期間プロダクトの作成はすでに2018年を作成済で、その他の期間も作成に着手している。③は0.1度全球版GSMaWSの比較・検証を実施しており、今後高解像度全球版GSMaWSの比較・検証を行う予定である。当初予定した項目は、おおむね順調に進展していると言える。
また、冠水可能性データについて、光学センサ起源と氾濫シミュレーション起源の2つのデータを組み合わせているが、光学センサの利用について解像度・精度を大幅に向上させる手法が開発され、今後冠水可能性データ作成に応用する可能性が示されるなど、想定外の進展もみられた。

今後の研究の推進方策

全球高解像度GSMaWSの作成をすすめる。1年分の計算に約1か月かかったため、今後は並列計算を行うなど作成速度を速めるように改良する。また、プロダクトのサイズが大きいため、アップスケール・地域別のプロダクトも作成し、効率的に検証を行えるようにする。地表水のタイプ(河川氾濫、くぼ地貯留、水田など)別の検証を行い、冠水可能性データの更なる改良につなげる。また、リアルタイム運用・データ公開について引き続き検討を行う。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] A 60-cm water body map obtained using aerial photography: Application to the Tama and Tsurumi rivers2024

    • 著者名/発表者名
      Megumi Watanabe, Dai Yamazaki
    • 雑誌名

      Hydrological Research Letters

      巻: 18 ページ: 1-6

    • DOI

      10.3178/hrl.18.1

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 全球地表水マップGSMaWSの検証と高度化に向けた検討、GPMおよび衛星シミュレータ合同研究集会2024

    • 著者名/発表者名
      山本晃輔、瀬戸心太、山崎大、久保田拓志、伊藤誠人、正木岳志、東上床智彦
    • 学会等名
      GPMおよび衛星シミュレータ合同研究集会
  • [学会発表] 60cm解像度航空写真を用いた水面検出手法の開発2023

    • 著者名/発表者名
      渡辺恵、山崎大
    • 学会等名
      水文・水資源学会/日本水文科学会2023年度研究発表会
  • [学会発表] Estimation and validation of surface water using multiple microwave radiometers2023

    • 著者名/発表者名
      K. Yamamoto, S. Seto, D. Yamazaki, T. Kubota, M. Ito, T. Masaki, T. Higashiuwatoko
    • 学会等名
      Japan Geoscience Union Meeting 2023
    • 国際学会
  • [学会発表] 水資源評価モデルH08の長崎県を対象とした検証2023

    • 著者名/発表者名
      岩﨑涼、瀬戸心太
    • 学会等名
      水文・水資源学会/日本水文科学会2023年度研究発表会

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公開日: 2024-12-25  

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