研究課題/領域番号 |
21H01440
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研究機関 | 高知工科大学 |
研究代表者 |
佐藤 愼司 高知工科大学, システム工学群, 教授 (90170753)
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研究分担者 |
高木 方隆 高知工科大学, システム工学群, 教授 (50251468)
村井 亮介 高知工科大学, 地域連携機構, 助教(プロジェクト) (70773810)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 流砂系の土砂移動 / 降雨流出と土砂流出 |
研究実績の概要 |
海岸における砂礫堆積物の特性を、高頻度UAV調査により分析した。海浜表面の堆積物は、砂と礫の変動が激しく、数日単位の短いスケールで砂から礫、礫から砂の変化が観察された。地形変化との関係を詳細に分析したところ、砂から礫に変化する場合は、地形が堆積していることが多いことが明らかとなった。これは、複雑な分級現象を含む混合砂礫海岸の海浜過程において,地形変化と表面砂礫の変化に単純かつ直接的な関係があることを示唆するものである。 山間地における斜面崩壊と土砂流出の関係を把握するため、谷筋領域に対して、降雨流出と土砂流出の関係を調査することとした。対象領域として物部川上流の谷筋領域を選定し、各種データを収集して地質調査を実施する予定であったが、地権者との調整が不調となり、同地域での調査実施は困難となった。そのため、観測対象領域を中流域の佐岡地区に変更し、地質調査を実施した。これらにより、対象領域の地形、地質、地下水位の分布を把握することができ、最終年度に実施予定の降雨流出と土砂流出の関係を分析するための基礎資料を得ることができた。 佐岡地区で実施したボーリング調査の結果、地下水面は、谷筋斜面に沿う方向に低下するが、地層堆積物の影響を強く受け、後入川に近い地域ほど地下水面が高くなる傾向にあることがわかった。谷筋の急斜面領域では、表層地質が不透水層となっているため、降雨流出は、表面流出が大部分で、浸透はほとんど見られない。これに対し、河川近傍の緩斜面領域では、表層に斜面流出流れによる堆積層が厚く見られ、地中への浸透が卓越していることが明らかとなった。最終年度に実施予定の調査では、このような地質特性を踏まえたうえで、降雨強度と土砂流出の関係を分析する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
地権者との調整の不調により、調査対象地域を変更することとなったが、新しく選定した調査地では、地権者の協力が得られ、環境調査、地質調査ともに順調に進んだ。
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今後の研究の推進方策 |
新しい調査対象地である中流域の佐岡地区は、これまでにも激しい降雨が観測されている地域であるため、後入川での河川水位観測と土砂流出状況の計測を分析し、流域からの土砂流出特性を分析する予定である。また、これらの土砂流出と下流河川や海岸での堆積物との関連を分析し、流砂系の環境変化を代表する適切な指標を検討する予定である。
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