研究課題/領域番号 |
21H01457
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
吉井 稔雄 愛媛大学, 理工学研究科(工学系), 教授 (90262120)
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研究分担者 |
坪田 隆宏 愛媛大学, 理工学研究科(工学系), 講師 (00780066)
塩見 康博 立命館大学, 理工学部, 教授 (40422993)
西内 裕晶 高知工科大学, システム工学群, 准教授 (40548096)
川崎 洋 九州大学, システム情報科学研究院, 教授 (80361393)
小野 晋太郎 福岡大学, 工学部, 准教授 (80526799)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 交通流 / ブレイクダウン / ネットワーク / 画像処理 / 予測手法 / 事故リスク |
研究実績の概要 |
本研究では,交通事故や自然災害などの突発事象に起因する非日常の激しい交通渋滞(以下“ブレイクダウン”)の未然防止に向けて,空間モニタリング技術,交通流解析手法,ならびにAIによる情報解析技術を組み合わせた,道路ネットワーク交通流におけるブレイクダウン発生予測手法を構築することを目的とする.令和4年度においては,令和3年度に引き続いて以下の研究を行った. 1)交通流観測データとプローブ車両走行軌跡を用いて,ネットワークの交通流状態における交通密度と交通量の関係を示すMFDを推定する手法を確立した.さらに,長期間蓄積されたこれらのデータと交通事故の記録を用いて,OD交通量の変化や交通事故発生によるMFD形状の変化を把握した. 2)AIを用いたネットワークブレイクダウン予測手法の構築に向けて,ネットワークの交通流状態をマクロに捉えるエリアトラフィックステートを指標として,ブレイクダウン発生の有無を判定する手法を開発し,その精度を検証した. 3)道路ネットワーク全体が潜在的に有する交通事故発生リスクをリアルタイムで推定する手法として,プローブデータの走行軌跡を入力に用いた動的交通事故発生リスク推定モデルを構築し,実交通データに適用してその精度を検証した. 4)道路ネットワーク上を走行するプローブ車両のDR画像を収集し,画像解析を行って急ブレーキ発生の予測,ならびに死角を検出するモデルを開発し,実データを用いた検証を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
理由 令和5年度に実施予定の研究推進に必要となる以下に示す手法や技術を開発した. 1)実プローブデータを用いてマクロな交通観測量(エリア交通流率とエリア交通密度で規定されるエリアトラフィックステート)を用いて交通流状態を記述する方法を確立し,同交通観測量と交通事故の記録を照合することにより,交通事故発生によるMFD形状の変化を示す事に成功した. 2)エリアトラフィックステートの時間推移に基づいてブレイクダウン発生の有無を判定する手法を開発した. 3)定点観測データと移動体観測データの両者を活用して道路ネットワーク全体が潜在的に有する交通事故発生リスクをリアルタイムで推定する手法を構築した. 4)道路ネットワーク上を走行するプローブ車両のDR画像を収集し,画像解析を行って急ブレーキ発生の予測,ならびに死角を検出するモデルを開発した.
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度には,令和4年度までの研究成果を活用することにより,交通事故発生によるMFDの変化を踏まえつつ,交通事故発生リスクを考慮した上で,マクロ交通流状態(ATS=エリアトラフィックステート)の変化を確率的に予測する手法を構築する. 具体的に令和5年度においては,高速道路ネットワークを対象として,ネットワークブレイクダウンとなる交通流状態を定義した後,令和4年度に開発した交通事故発生リスク予測モデルを用いた分析を行って,巨視的な視点から道路ネットワークのどこかで交通事故が発生する確率を算定し,同交通事故発生確率を考慮した上で,道路ネットワークのATSに基づいて,ネットワーク交通流ブレイクダウンの発生確率を算定するモデルを構築し,同モデルの推定精度検証を行う.
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