塩素処理によるフェノールの「全分解」

2023 年度 研究成果報告書

• 研究課題/領域番号: 21H01463
• 研究種目: 基盤研究(B)
• 配分区分: 補助金
• 応募区分: 一般
• 審査区分: 小区分22060:土木環境システム関連
• 研究機関: 京都大学
• 研究代表者: 越後 信哉 京都大学, 地球環境学堂, 教授 (70359777)
• 研究期間 (年度): 2021-04-01 – 2024-03-31
• キーワード: ハロ酢酸 / 分画 / 塩素処理 / 溶存有機物 / 消毒副生成物

研究成果の概要

消毒副生成物の重要な前駆体の構成要素と考えられるフェノールの塩素処理による分解経路の理解を最終目的に，反応の各段階で塩素処理→分画を繰り返して，反応に関与する中間体だけを分離する「反応-分画-反応」法を確立・最適化し，それをフェノールと塩素の反応に適用し，並行して起こる反応を物理的に分離し，精密質量分析等により，重要な中間体の構造解析を可能とする手法を開発した。また実際に精密質量分析により，「反応-分画-反応」法はトリクロ酢酸の生成に関係のないピークを排除でき，重要な中間体を絞り込むのに有用であることを示した。

自由記述の分野

水質化学

研究成果の学術的意義や社会的意義

消毒副生成物は，水道水中に含まれる代表的な微量汚染物質であるが，その生成機構は多段かつ分岐するもので，複雑である。本研究は，この複雑な反応を単純化するために，反応中間体を含む混合液を分画して，その後再度塩素処理することで，重要な反応中間体を絞り込む技術を開発した。この方法は，本研究で取り上げた，フェノールからのトリクロロ酢酸等の生成以外にも，普遍的に応用可能であり，副生成物の化学を大きく進展させ，安全な水道水の確保に大きく貢献すると期待される。