研究課題/領域番号 |
21H01464
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
西村 文武 京都大学, 工学研究科, 教授 (60283636)
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研究分担者 |
中田 典秀 神奈川大学, 工学部, 准教授 (00391615)
井原 賢 高知大学, 教育研究部自然科学系農学部門, 准教授 (70450202)
竹内 悠 京都大学, 工学研究科, 助教 (70835272)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | オゾン / オゾン添加活性汚泥法 / 薬剤耐性菌 / 薬剤耐性遺伝子 |
研究実績の概要 |
オゾン添加活性汚泥法は、排水処理システムで現在広く用いられている活性汚泥法において、活性汚泥を直接オゾン処理するプロセスを付加する、生物反応と化学的酸化反応のハイブリッドシステムである。このハイブリッドシステムにより、システム全体として発生汚泥の削減や、生物反応システムの安定化を図ることが可能となる。本研究では、このオゾン添加活性汚泥法による、薬剤耐性遺伝子(ARGs)や薬剤耐性菌(ARB)の削減効果を定量的に示すことを目的にしている。 今年度は、オゾン反応の定量化を中心に検討した。具体的にはまた温度、pHなどの環境因子の影響について調査した。その結果、10℃から30℃の範囲の温度条件においては、温度影響は大きなものではなく、限定的であることがわかった。またpHの影響については、pHが6~8の間においては、最も酸性条件であるpH6の条件で最も高い溶存オゾン濃度が観測され、ARBとARGsの除去は、pH6の条件下でより効率的に行われることが示された。ARBとARGsを2log減少させるには、各々少なくとも0.5gO3/gTOCと0.9gO3/gTOCの比オゾン消費量が必要であることを明らかにした。 また活性汚泥の直接オゾン添加では、汚泥中のARGs濃度を1.4~2.0 log減少させうること、各対象遺伝子(ampC, tetA, sul1, sul2等)やARBの除去率と、単位汚泥量当たりのオゾン消費量の間には高い相関関係があり、異なるMLSS濃度条件下でも同様のオゾン処理効率が得られることを実験的に明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
オゾン添加活性汚泥法による薬剤耐性遺伝子、薬剤耐性菌の挙動と、環境条件の影響を定量的に示すことができた。今後は、嫌気性消化プロセスをシステム内に組み込んだ場合のエネルギー回収効率とARBやARGsの削減効果を明らかにすること、さらに発展形としてのモデル化が今後の課題となり、最終年度である2023年度に実施する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
嫌気性消化プロセスをシステム内に組み込んだ場合のエネルギー回収効率とARBやARGsの削減効果を明らかにする。ここでも、ラボスケール実験を中心に検討する。実汚泥を採取し、異なる処理プロセス(処理場)からの多様な実汚泥を用いた検討を行う。これらの結果を合せて、オゾン添加活性汚泥法による、高度処理の効果を定量化する。
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