研究課題/領域番号 |
21H01495
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
倉渕 隆 東京理科大学, 工学部建築学科, 教授 (70178094)
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研究分担者 |
金 政一 東京理科大学, 工学部建築学科, 助教 (50887891)
李 時桓 信州大学, 学術研究院工学系, 助教 (60624997)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | バイオエアロゾル / 挙動特性 / 数値解析 / 換気 / 感染リスク |
研究実績の概要 |
本研究は,バイオエアロゾル(ウイルス,バクテリアなど)の挙動を定量的に検討する評価指標を開発し,その指標に基づいた寄与率評価により感染リスク低減方法を構築することを目的として、2021年度は①空気伝播由来の感染症に関するバイオエアロゾル発生性状の把握と②局所領域における汚染質除去のための数理疫学と換気指標との連成検討について以下取り組んできた。 ①空気伝播由来の感染症に関するバイオエアロゾル発生性状の把握では、世界各国で行われている粒子状物質の検討手法に関する研究報告書や調査レポートなどを参考にしてエアロゾルの挙動特性を検討する手法を纏めISO 規格クラス 5 のクリーンルームで様々な呼吸関連活動によって生じるエアロゾルの粒子径分布の被験者実測を行なった。結果としてエアロゾル濃度は全ての粒子径で声の大きさに比例し、粒子径が大きくなるほどその傾向が顕著であったことが明らかになった。但し、マスクの飛沫発生の抑制効果については先行研究との乖離が見られ、課題となった。 次に、②局所領域における汚染質除去のための数理疫学と換気指標との連成検討では、PIV実験装置を用いて単一開口モデルを対象とした模型実測を実施し、可視化による自然換気の気流特性を把握した。結果として,縮尺模型における自然換気の中性帯を確認し、自然換気量の定量評価が可能であることを明らかにした。さらに数値解析手法を用いた粒子状物質の挙動特性と整合性を確認し、非定常条件での空気流動による換気特性を定量的に検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
PIV実験装置の納品が遅れる不測なことがあったが、同機器を用いて計測をすることができた。それによって同年度に予定していた「局所領域における汚染質除去のための数理疫学と換気指標との連成検討」に同装置を用いて単一開口モデルを対象とした模型実測を実施し、可視化による自然換気の気流特性を把握した。また先駆けて進めていたCFD解析結果と整合していることを確認した。また、「空気伝播由来の感染症に関するバイオエアロゾル発生性状の把握」ではMorawskaらが実施した研究の再現実験を実施し、クリーンルームで様々な呼吸関連活動によって生じるエアロゾルの粒子径分布の被験者実測を行なった。それによって呼吸関連活動による飛沫発生性状が明らかになった。但し、マスクの飛沫発生の抑制効果については先行研究との乖離が見られ、課題となった。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度の課題であったマスクの飛沫発生の抑制効果に関して、実験装置の改良をすることとし、呼吸量の測定を追加する。2022年度に予定している「感染リスク低減方法の検討」では前述の実験結果をもとに感染リスクの定量評価を行うこととする。①換気による感染リスク低減方法の検討では、重力沈降、沈着速度を考慮した換気量の評価のために、CFDにおける粒子状物質の解析モデルの比較検討より換気量の定量評価を試みる。②空気清浄による感染リスク低減方法の検討では、空気清浄機の粒子除去効率および空気清浄の影響範囲を把握する実験を実施する。
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