研究課題/領域番号 |
21H01535
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研究機関 | 中部大学 |
研究代表者 |
池田 忠繁 中部大学, 工学部, 教授 (40273271)
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研究分担者 |
横関 智弘 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (50399549)
小木曽 望 大阪公立大学, 大学院工学研究科, 教授 (70295715)
田中 宏明 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), システム工学群, 教授 (90532002)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | モーフィング翼 / 複合材料 / コルゲート構造 / 最適化 |
研究実績の概要 |
コルゲート構造等を適用した柔軟フラップに関しては、剛性設計を行うと共に、空力荷重作用時の変形や動特性の解析手法を開発することで、モーフィング翼実現のための設計基盤の構築を行った。ラティス構造のモーフィング翼主構造への適用に関しては、Cube型ラティスがウイングツイスト型モーフィング翼に適していることを明らかにし、また、Cube型ラティスを用いた小型無人機用の翼構造を製作し、地上試験によりウイングツイストを実現できることを確認した。さらに、刺しゅう機により補強繊維を部分配置することにより、ねじり形態の双安定板構造が出現することを有限要素解析により見つけ、実際に製作し確認した。リブを取り付け、立体翼構造状態での変形も確認した。また、双安定長方形板の2形態で固有振動数が大きく異なるモードを有限要素解析により見つけた。変形駆動に利用できるか検討中である。 新しいモーフィング構造設計手法の開発において、レベルセット法に基づくトポロジー最適設計をモーフィング翼に適用する研究では、トポロジー最適設計で現れる空洞領域を小さな弾性を持つ領域ではなく、真の空洞領域として扱う手法を取り入れ、さらに、非線形変形の影響を考慮に入れる手法を開発し、非線形変形の効果を取り入れた設計法を開発した。また、前年度に「インフィル構造創成法」をコンプライアントグリッパーの形態設計に適用したが、そこで得られた形態はインフィル構造の性質を持たず、マクロな部材配置を有することが分かった。その一方、多様な形態が得られるため、「グレイスケール構造修正アルゴリズム」と呼び、その多様な形態を持つコンプライアントグリッパーを3次元プリンターで造形し、その力学特性を実験によって調べ、グリッパー部の変位と把持力にトレードオフ関係があることを定量的に明らかにした。この性質をさらに明確にするため、同手法の多目的最適化への展開を試みている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コルゲート構造、ラティス構造、双安定構造等のモーフィング翼適用のために必須の静的・動的解析手法を構築し、設計手法の構築や実現性評価に向けて着実に前進している。個々の構造に対して、曲げまたはねじり型モーフィング翼模型や小型無人機用の翼構造への適用、試作を実施している。しかし、フラップ部、主構造部、アクチュエータの選択、統合化設計など、統合化に向けた計画に少し遅れが生じている。 新しい設計手法の開発に関しては、トポロジー最適設計に非線形構造解析を考慮できるように拡張することができた。一方で、解析時間の増大が深刻であり、計算効率の改良を成し遂げる必要がある。また、3次元プリンターで造形した模型の実験方法の設定に予定以上の時間を有した。 個々の課題で進捗に違いはあるが、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
コルゲート構造、ラティス構造、双安定構造などこれまでに提案、評価してきた個々の構造要素に対し、航空機への適用可能性を考慮し、さらなる静的、動的特性評価を実施する。また、主構造部、フラップ部を統合したシステムに対して、重量、曲げねじり性能、空力性能等のバランスを考慮した多目的最適設計等を実施する。最適化手法に関しては、「グレイスケール構造修正アルゴリズム」の多目的設計への拡張を進め、モーフィング翼への適用を検討する。また、非線形変形を考慮したトポロジー最適設計では3次元構造問題へ適用するための計算効率向上手法を検討し、その一つの可能性として、メタマテリアルの導入を考える。 最後に、本研究課題の集大成として、得られた結果に基づき、主構造部、フラップ、アクチュエータを選択、統合した模型を製作し、変形精度、耐荷重等を評価するとともに、適用する機体サイズに対する翼構造の実現可能性を評価する。また、無人小型機へ適用し、風洞試験および飛行試験を実施し、安定性、操縦性等を評価する。 これまでに得られた成果は、学会等で発表する。
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