• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2021 年度 実績報告書

波および船体運動・構造応答の非線形性が生涯最大荷重期待値に及ぼす影響の解明

研究課題

研究課題/領域番号 21H01538
研究機関東京大学

研究代表者

宝谷 英貴  東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (30636808)

研究分担者 高見 朋希  国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, その他部局等, 研究員 (50586683)
松井 貞興  国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, その他部局等, 研究員 (60734225)
小森山 祐輔  国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, その他部局等, 研究員 (90805110)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード最大荷重 / 弾性模型 / HOSM / FORM / 非線形
研究実績の概要

【数値計算】2021年度には、波および船体運動・構造応答の非線形性を考慮した数値シミュレーションの実施を可能とすべく、時間領域非線形ストリップ法ベースの荷重解析コード“NMRIW-II”に、高次スペクトル法(HOSM)により計算した非線形時間発達する波浪場を入力できるよう、プログラムの拡張を行った(NMRIW-II-HOSM)。一方向不規則中の正面向波条件でのコンテナ船の船体応答に関する数値計算を線形/非線形な波浪条件、低波高/大波高条件で実施し、従来考えられてきた船体形状に起因する非線形性だけでなく、波の非線形時間発達が船体運動や縦曲げモーメントの統計値に及ぼす影響について調べた。
【実験】巨大波中船体応答に関する水槽実験の実施や、水槽実験による上記開発数値計算コードの検証において、目的の巨大波と模型船の遭遇タイミングを細かく制御する必要がある。そのため、水槽に波を発生するための造波機と模型船を曳航するための曳引車を一体的に制御するための実験システムの機能追加を行った。また、東京大学船型試験水槽での水槽試験のための模型船の設計を行った。
【最大荷重推定】ある波スペクトルを与えた際の、波の非線形時間発達(変調不安定)を考慮した不規則波浪場において、任意のクレスト高さを有する尤もらしい波形を推定すべく、First Order Reliability Method (FORM)とHOSMを組み合わせた手法の開発に取り組んだ。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

非線形時間発達を考慮した波浪中の船体応答計算コード(NMRIW-II-HOSM)の開発はほぼ予定通り進んでおり、また最大荷重推定の前段階となるHOSMとFORMを組み合わせた最大波推定法の開発は若干前倒しで進んでいる。
一方、水槽実験関係では、東京大学の船型試験水槽(長さ80 m、幅3.5 m、水深2.3 m)で実施する波浪中模型船曳航実験に向け、長さ2 mのコンテナ船弾性模型船の設計を行った。しかし、当初の想定に反し、使用予定の材料および塗装では、模型船の剛性を実船と相似になるように設計・製作することができないことが判明した。研究を遂行する上で、弾性応答の計測が可能な模型船が必要不可欠なため、模型船の船殻および内部に通すバックボーンの材料や塗装方法等の設計について追加検討が必要となり、その上で、模型船の製作を2022年度に延期する必要が生じた。
そのため、全体として、現在までの達成度は「やや遅れている」と考える。

今後の研究の推進方策

【数値計算】HOSM自体は、自由表面水位と自由表面における速度ポテンシャルの時間発達を解く手法であるが、船体応答を計算する上では、船体表面、すなわち自由表面下(波浪内部)の圧力場を求める必要がある。NMRIW-II-HOSMの開発の中で、特に大波高下において、圧力場に不自然な高周波変動が現れ得ることが判明した。2022年度には、このような圧力場の高周波変動の原因の究明と解決をはかる。その上で、様々な波条件下におけるより長時間の数値計算を行い、波の非線形時間発達が船体応答の統計に及ぼす影響を明らかにしていく。
【実験】年度の前半には、東京大学船型試験水槽で実施する水槽実験用の弾性模型の製作を完了する。そして、年度後半には、製作した弾性模型船を用いた波浪中模型船曳航実験を行い、NMRIW-II-HOSMの検証に必要なデータを取得する。また、本研究では、海上技術安全研究所の実海域再現水槽でも模型船曳航実験を実施する予定である。実海域再現水槽では、正面向波以外の条件(斜め波や多方向不規則波中等)でも波浪中曳航実験を行うことが可能であるため、捩り応答等の計測も可能な弾性模型船の設計を行う。
【最大荷重推定】HOSMとFORMを組み合わせた最大(クレスト)波の推定法の開発を引き続き進める。さらに、縦曲げモーメントの最大値の推定や、そのような最大応答を引き起こす尤もらしい波(MPWE; most probable wave episode)を推定する手法の開発にも取り組む。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2022 2021

すべて 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件)

  • [学会発表] 時間周期的および空間周期的な変調不安定波の波形の一致と分散関係の偏移2022

    • 著者名/発表者名
      宝谷英貴
    • 学会等名
      海洋波および大気海洋相互作用に関するワークショップ
  • [学会発表] Influence of Initial Wave Steepness of Modulated Wave Trains on the Maximum Crest Height2021

    • 著者名/発表者名
      Houtani, H.; Waseda, T.; Sawada, H
    • 学会等名
      36th International Workshop on Water Waves and Floating Bodies
    • 国際学会
  • [学会発表] 波の変形と船体縦曲げ応答について2021

    • 著者名/発表者名
      宝谷英貴; 早稲田卓爾
    • 学会等名
      令和3年 日本船舶海洋工学会 春季講演会
  • [学会発表] On the maximum crest height of modulated wave trains2021

    • 著者名/発表者名
      Houtani, H
    • 学会等名
      Online Seminar on Nonlinear Water Waves and Related Topics
    • 国際学会

URL: 

公開日: 2023-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi