研究課題/領域番号 |
21H01547
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
岩下 英嗣 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 教授 (60223393)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | FBG圧力センサー / 非定常圧力 / Added pressure / ランキンパネル法 |
研究実績の概要 |
波浪中を航走する船舶の耐航性能に関わる研究において、昨今光センシング技術を用いた新しい圧力場の計測法が着目されて来ている。これは、FBG (Fiber Bragg Gratings)を用いて新規に開発された貼付型圧力センサーを用いて、模型に加工を施すことなく数百点規模の圧力を一挙に計測する方法である。本研究ではこの圧力センサーの更なる計測精度の高度化と計測システム全体の構築を図ることにより波浪中の船舶の推進性能向上に寄与しようとするものである。 本研究は、①FBG圧力センサーによる波浪中を航走する船舶に作用する非定常圧力の面分布計測データの構築、②簡易結合法に基づく耐航性能の3次元理論推定法に改良を施した新規計算法の開発、③非定常圧力の面分布計測データを用いた既存の理論推定法のベンチマークテスト、の3つの項目に分けて遂行している。 初年度となる令和3年度は、まず①に関連して、従来のFBG圧力センサー(ver.6)が気温が高い場合に温度干渉影響を強く受けるという欠点を有していたことを受け、それを改善すべく、剛性増しを含めた3つの改良を施したセンサーver.7を製作した。それを熱伝導率の異なる2種類の材料で製作された模型船に貼付して正面規則波中での曳航試験を実施し、従来のver.6や歪式圧力センサーの計測結果と比較した。その結果、新しいセンサーver.7では温度干渉影響が大きく改善されていること、熱伝導率の低い材料で製作された模型を用いることで温度干渉影響を小さくできることが示されている。次に②と③に関しては、定常流場の非定常流場への影響を表す通称m-termと呼ばれる項の数値計算精度を、吹き出し分布法を2回用いて計算することで大幅に改善している。これにより運動の同調点近傍での理論計算と実験結果が良好に一致するようになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新しいセンサーver.7を製作して温度干渉影響が大幅に改善できることを確認できたと共に、そのセンサーを模型船の片舷に400点貼付して正面規則波中の曳航試験も実施できている。一方で、数値計算の方ではm-termの計算精度を向上させることで運動の同調点近傍での理論計算精度の向上が図られ、実験値との合致も良好となることが確認できている。これら実験、理論計算両面での進捗度合いを踏まえると、研究は概ね順調に進展していると評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度に得られた研究実績の中で、FBG圧力センサーを用いて圧力計測を行う場合には、熱伝導率の低い材料を用いて計測することが望ましいということが判明している。これを踏まえて、令和4年度は、熱伝導率が極めて低い硬質ウレタンフォーム製の模型を新たに製作し、センサーを片舷400点ほど貼付した上で正面規則波中の曳航試験を実施し、令和3年度にケミカルウッド製模型を用いて得られた計測値との比較を行う予定である。加えて、精緻な圧力分布を得るために必須となる船側波形の計測法の改良を研究内容に盛り込む予定である。具体的には船側波形を計測するときのプローブとなる容量線を船体表面に直接貼り付ける方法や、レーザーシートとビデオカメラにより光学的に計測する方法を試みる。最終的には、計測により取得した圧力分布データおよび船側波形データから精緻なadded pressure分布を算出して理論数値計算法による結果と比較することで、取得した圧力分布データの有用性を示していく。
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