研究課題/領域番号 |
21H01551
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
永田 修一 佐賀大学, 海洋エネルギー研究所, 特任教授 (30404205)
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研究分担者 |
高尾 学 松江工業高等専門学校, 機械工学科, 教授 (00332057)
石田 茂資 佐賀大学, 海洋エネルギー研究所, 客員研究員 (30360712)
萩原 世也 佐賀大学, 理工学部, 教授 (80198647)
今井 康貴 佐賀大学, 海洋エネルギー研究所, 准教授 (90284231)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 波力発電 / 浮体式洋上風力発電 / 3次元渦法 / 発電性能評価 / 水槽実験 |
研究実績の概要 |
本研究では、高速多重極法とGPU技術等を導入して、大幅に高速化された3次元渦法をベースに、水面の非線形性、浮体表面から発生し、流体中に放出される渦の粘性拡散影響を正確に考慮して、3次元浮体の運動を時間的に追跡する高速粘性流体解析法を開発して、この手法を浮体型の振動水柱型(OWC)波力発電装置や浮体式洋上風力発電装置に適用して、装置の最適設計を行うことを最終的な目的としている。 令和3年度は、計算法に関しては、流速と渦度を未知量とした粘性流体の基礎式を、境界要素法をベースとした渦法を用いて解く場合に課題であった、厳密な自由表面条件式と物体表面条件式を、境界面からの渦の発生と吸収を考慮できる境界渦流束を用いた表示式とした。具体的には、圧力に関する自由表面条件に渦度を考慮し、物体表面条件ついては、境界面での境界渦流束表示に、流体圧力の勾配を考慮した。時間方向の計算には、Fractional step法を用いるが、前半のConvection stepで行う速度ポテンシャルの計算においては、2次要素を用いた離散化表示の定式化を行った。また、計算高速化のための高速多重極法とGPU技術については、調査を行い、GPU計算を行うために、NVIDIA@GPU Cloud搭載の高速計算機を導入した。 また、実験に関しては、3次元渦法計算法の検証のために、まず、タービン負荷をオリフィス負荷に置き換えたスパー型の浮体形式を持つ振動水柱型波力発電装置の模型を設計・製作し、規則波中での一次変換効率(波パワーから空気パワーへの変換効率)の実験を行った。次に、空気タービンを搭載した浮体式の後ろ曲げダクトブイ型波力発電装置を設計・製作した。また、波力発電用往復流型衝動タービンの性能に及ぼす非対称な翼列形状の影響を、数値計算を用いて調べ、従来型の対称翼列に比べ良い性能を示すことがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は、大幅に高速化された流速と渦度を未知量とする3次元渦法をベースに、水面の非線形性、浮体表面から発生し、流体中に放出される渦の粘性拡散影響を正確に考慮して、3次元浮体の運動を時間的に追跡する高速粘性流体解析法を開発することにあるが、令和3年度は、計算法に関しては、流速と渦度を未知量とした粘性流体の基礎式を、境界要素法をベースとした渦法を用いて解く場合に課題であった、厳密な自由表面条件式と物体表面条件式について提案した。また、流体計算の精度を上げるために、2次要素を用いた境界要素法計算式を作成した。さらに、計算高速化のためにGPU計算が可能なNVIDIA@GPU Cloud搭載の高速計算機を導入した。 また、実験に関しては、3次元渦法計算法の検証のために、まず、スパー型の浮体形式を持つ振動水柱型波力発電装置の模型を設計・製作し、規則波中での一次変換効率(波パワーから空気パワーへの変換効率)の実験を行い、次に、空気タービンを搭載した浮体式の後ろ曲げダクトブイ型波力発電装置も設計・製作した。また、波力発電用往復流型衝動タービンの性能に及ぼす非対称な翼列形状の影響を、数値計算を用いて調べた。
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今後の研究の推進方策 |
計算法に関しては、流速と渦度を未知量とした粘性流体の基礎式を、渦法を用いて解く際の課題解決の方策として提案した、厳密な自由表面条件式と物体表面条件式の有効性を示すとともに、これらの境界条件式を考慮し、流体計算に2次要素を用いた境界要素法等を適用した新しい計算法を、波浪中にある円柱周りの流れ計算に適用する予定である。 また、実験に関しては、3次元渦法計算法の検証のために製作したスパー型の浮体形式を持つ振動水柱型波力発電装置模型対象に、規則波中での一次変換効率(波パワーから空気パワーへの変換効率)の実験を継続して行うとともに、空気タービンを搭載した後ろ曲げダクトブイ形式振動水柱型波力発電装置についても、波浪中の実験を行い、波パワーから空気パワー、タービンパワーへの変換効率等を調べる予定である。
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