研究課題/領域番号 |
21H01552
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
有馬 正和 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70264801)
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研究分担者 |
石井 和男 九州工業大学, 大学院生命体工学研究科, 教授 (10291527)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 自律型海中ロボット / ハイブリッド型AUV / KAUBE-1500 / エネルギー効率 / 機動性 |
研究実績の概要 |
2021年度は、当初の研究計画に沿って、下記の3項目について実施した。 ① ハイブリッド型AUV(HAUV)のエネルギー消費の推定手法の構築:数値流体力学(CFD)によって機体にはたらく流体力(抵抗)を推定し、浮力調整装置および重心移動装置、スラスターの駆動に要するエネルギー消費を予測するための推定モデルを検討した。また、使用するCFDソフトウェアの選定と機体の形状データ(CAD)の整備を行った。 ② HAUVの改装と水槽試験・洋上実験によるモデルの検証:KAUBE-1500は、鉛直姿勢での潜降・浮上を実現することができ、潜航時のエネルギー消費を大幅に削減することができる。海底での運動性能をさらに向上させるために水中スラスター(推進機)の推力を大幅に増強させた。また、亡失を避けるための安全策として、船上に方向探知機を導入してラジオビーコン信号を精度良く捉えることができるようにした。HAUVの高度知能化を実現するために制御系を見直し、従来のPCL(Programmable Logic Controller)からROS2(Robot Operating System 2)への換装を実施し、小型水槽および鹿児島湾での実海域試験を実施して、動作確認を行った。 ③ 実海域での海洋資源エネルギーの探査および海洋環境生態系の観測:最終年度(2023年度)に実施する、鹿児島湾での実海域試験において海底熱水活動の探査および海洋生態系の観察を行うための計画を検討した。HAUVの高度知能化を図るため、群知能海中ロボットシステムを構築して日本のEEZにおける運用シミュレーションによって、その妥当性を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和3年度は、自律型海中ロボットKAUBE-1500の高度知能化を実現するために、制御系を従来のPLC(Programmable Logic Controller)からROS2(Robot Operating System 2)への換装を行った。自律型海中ロボットの実海域試験において遠隔操縦(ROV)モードと自律型(AUV)モードでの潜航を実施する計画であったが、浮力調整装置の小型高圧海水ポンプが正常に動作せず(負荷時の吐出量が少ない)、ロスト(亡失)の可能性を避けるため、AUVモードでの実験を取り止めた。すぐに小型高圧海水ポンプの整備点検を依頼したが、新型コロナウイルス感染症の再拡大によって担当者に来ていただくことも、研究代表者が行くこともできなくなってしまい、令和4年度に整備点検を実施することになった。実海域試験に使用する研究船のシップタイム(船舶運航スケジュール)の関係で鹿児島湾での実海域試験が年に1度しか実施できないため、令和4年度に遠隔操縦モードと自律型モードの実験を行い、さらにエネルギー効率の評価を行うことができるように計画を立てることで、遅れを挽回できると考えている。また、令和3年度は、新型コロナウイルス感染症の影響で事前の水槽試験を実施することができなかったが、令和4年度は水槽試験を実施できるように関係部署との調整を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度になって、小型高圧海水ポンプの整備点検を実施した結果、装置は正常に動作していることが明らかとなった。機体内の構造配置を変更し、潜航開始時に配管内に空気が流入しないように工夫をすることで改善を図る予定である。 また、HAUVのエネルギー消費を推定・評価するための数値流体力学(CFD)計算と推力試験を実施して、エネルギー消費の推定モデルを確立する。水槽試験および実海域試験を実施し、提案するモデルの妥当性・有効性を検証する。また、HAUVの高度知能化を図るため、群知能海中ロボットシステムの高精度な運用シミュレーションを実施して、その妥当性、有効性を検証する。
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