研究課題
近未来の北極海航行では船舶は開水面もある浮氷群中を航行すると想定し、この場合には氷片運動を2次元に限定しても船体周りの氷片運動を十分表現できるのではないか? そしてそのとき氷片に作用する流体力は密接度増加に伴い減衰するが、流体力の減衰モデルを数値解析に導入することにより、氷荷重を精度良く推定できるのではないか? との問いを立てる。これを検証するため複数の氷片が水面上に浮遊する状況で氷片に作用する流体力を評価する。またこれらを統合した流体力モデルを作成する。得られた知見を以下に示す。1.水槽試験において、単独氷片および縦列氷片での実験結果は吉田らの過去の実験結果を再現した。また密集浮体群下流氷片に作用する流体力が、数値解析では氷の列数の増加に伴い増加するが、実験では減少する。上流にある氷片群が下流の氷片に流入する流れを阻害し流体力は減少すると推測されるので、実験結果のほうが妥当だと考えられる。2.差異の要因として、使用する解析ソフト、氷群上面を越える流れ、境界条件、乱流モデル等の影響を調査したが、解析結果に違いがほとんどなかった。また氷の角付近の格子数を増やすと水槽試験結果との差が広がったほか、氷の面取りを行なった数値解析では水槽試験と近い傾向を示した。従って数値解析における氷片形状や深度の再現性が流体力の傾向に影響していることが示唆される。3.密集浮氷群の流れ解析結果において、上流氷群の配置によって流れの剥離の大きさが変わり、下流氷片に作用する流体力が変わると分かった。これは数値解析結果であり水槽試験とは傾向が異なるため、水槽試験では剥離の傾向が数値解析と異なると推測される。4.実海域では氷群が多数存在し、形状も一定しないことから、流れの剥離は本研究での解析よりも複雑に発生すると予想されるので、水槽試験における密集浮氷群下流での流体力が実現象に近いと推測される。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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