研究課題/領域番号 |
21H01566
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
布施 正暁 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 准教授 (70415743)
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研究分担者 |
塚井 誠人 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 准教授 (70304409)
力石 真 広島大学, 先進理工系科学研究科(国), 准教授 (90585845)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 水素ステーション / 水素輸送 / 社会総合リスク / ネットワーク分析 / リスク認知 |
研究実績の概要 |
低炭素化・エネルギーセキュリティの観点から、自動車燃料として水素を利用する水素社会が国内外で注目を集めている。水素社会の実現には、水素供給を担う水素ステーションと水素輸送に対する安全・安心の確保が不可欠である。しかし、水素ステーション・輸送での爆発・火災事故による住民の生命・財産への直接的な被害(工学リスク)が懸念される。また、このような事故は水素供給・道路利用を中断させ、経済・人心への間接的な被害も懸念される。本研究は、直接被害を主とする工学リスクに間接被害を加えて概念拡張した社会総合リスクに焦点をあてる。安全工学に加えて統計力学・交通工学・社会心理学を活用することで、水素ステーション・輸送に関する、1)コロナのような想定していないリスク、2)テレワーク化のような交通需要の社会変化、3)水素ステーション・水素輸送・住民間の社会総合作用、の3点を考慮した社会総合リスクマネジメント手法を確立することを目的とする。水素ステーション・輸送を対象とした社会総合リスクマネジメント手法は、リスク特定・分析に対応するリスクネットワーク分析モデル、リスク評価・対応に対応するステーション整備・輸送計画モデル、コミュニケーションに対応するリスク認知構造モデルから構成される。本年度は、水素輸送のリスクネットワーク分析モデルの開発、ステーション整備・輸送計画モデル内の交通手段選択サブモデルと利用意向サブモデルの開発、リスク認知構造モデルの開発を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
水素ステーション・輸送を対象とした社会総合リスクマネジメント手法を構成する、リスクネットワーク分析モデル、ステーション整備・輸送計画モデル、リスク認知構造モデルの進捗状況は下記のとおり、研究計画通り進んでいる。リスクネットワーク分析モデルに関しては、昨年度に試作した水素輸送に関するリスクネットワーク分析モデルを精査し、用いることで、水素輸送のリスクシナリオを生成し、重要なリスクソースを特定化した。ステーション整備・輸送計画モデルに関しては、燃料電池車・電気自動車・ガソリン自動車の交通手段選択と水素ステーション・電気スタンド・ガソリンスタンドの利用意向に関するSP調査を実施した。SP調査結果を用いて、燃料電池車・電気自動車・ガソリン自動車の交通手段選択モデルと水素ステーション・電気スタンド・ガソリンスタンドの利用意向モデルを推定した。リスク認知構造モデルに関しては、昨年度に使用した住民アンケート調査結果に共分散構造モデルを適用することで、水素ステーション・輸送の社会総合リスクに特化したリスク情報と住民の価値観・運営者への信頼を明示したリスク認知構造を解析した。
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今後の研究の推進方策 |
水素ステーション・輸送を対象とした社会総合リスクマネジメント手法を構成する、リスクネットワーク分析モデル、ステーション整備・輸送計画モデル、リスク認知構造モデルの研究計画は以下の通りである。リスクネットワーク分析モデルに関しては、前年度に開発した水素輸送に関するリスクネットワーク分析モデルを水素ステーションに適用し、水素ステーションに関するリスクシナリオを生成し、重要なリスクソースを特定化する。ステーション整備・輸送計画モデルに関しては、前年度に試作した燃料電池車・電気自動車・ガソリン自動車の交通手段選択モデルと水素ステーション・電気スタンド・ガソリンスタンドの利用意向モデルを統合する。統合モデルと既存の工学リスク評価ツールを用いて、水素ステーション・輸送の工学リスク評価を実施する。リスク認知構造モデルに関しては、前年度に解析した水素ステーション・輸送のリスク認知構造から、従来のリスク認知の主要要因である未知性・影響度に加えて本研究独自の価値観・運営者への信頼に関してそれぞれの影響を定量的に把握する。
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