研究課題/領域番号 |
21H01583
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
森口 周二 東北大学, 災害科学国際研究所, 准教授 (20447527)
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研究分担者 |
寺田 賢二郎 東北大学, 災害科学国際研究所, 教授 (40282678)
京谷 孝史 東北大学, 工学研究科, 教授 (00186347)
橋本 雅和 東北大学, 災害科学国際研究所, 助教 (80814649)
柴山 明寛 東北大学, 災害科学国際研究所, 准教授 (80455451)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 斜面安定解析 / 豪雨 / 広域 / 空間スケール |
研究実績の概要 |
本研究では,令和元年東日本台風による宮城県丸森町の斜面崩壊を検証材料として,豪雨時の斜面安定性評価手法の高度化や斜面崩壊の予測に影響を与える因子のインパクトの定量化を目的としている.この目的のために,初年度の取り組みとして,対象地域の複数個所における観測機器(雨量計と土壌水分計)の設置と観測データの蓄積,地質データの収集,解析プログラムの高度化・高精度化を予定していた. 観測機器については,丸森町全体をカバーするように8か所(筆甫,欠入,金山,小斎,荒野,黒佐野,大張,舘矢間の各地区)に設置を完了し,9月から計測を開始した.また,リアルタイムで観測結果を表示可能なWebシステムを構築し,観測状況のモニタリングやデータ入手環境の整備も行った. 地質データについては,丸森町の地質分布データを入手するとともに,過去に実施された標準貫入試験の結果(ボーリングデータ)について,それを所持する民間企業に協力を要請し,地下構造の3次元モデルの検討を進めた. 解析プログラムの高度化については,半無限斜面の仮定に基づく斜面安定解析プログラムに,降雨に伴う地盤内部への浸透と地表面を流れる地表流の影響を表現可能なモデルを組み込み,実際の豪雨による広域での斜面崩壊事例を対象として検証を行い,その有用性を確認した.また,Hovland法と簡易Bishop法を用いた解析プログラムを開発し,計算精度や計算コストなどを確認した. さらに,関連する成果として,令和元年東日本台風による宮城県丸森町の被害を整理・分析し,学術論文としてまとめて公表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
対象地域における観測機器の設置とその後の計測やモニタリングWEBシステムの整備,地質データの収集,解析プログラムの高度化の3つの項目について予定通りに進んでおり,現状では研究の進展ついて問題や大きな課題は発生していない.
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今後の研究の推進方策 |
観測開始から蓄積されたデータ(特に雨量データ)を用いて,令和元年東日本台風による宮城県丸森町のAMeDASレーダーの時系列雨量分布データ(解析雨量データ)の補正の必要性を検討し,必要に応じて時系列雨量分布データの補正を行う.なお,観測はデータ蓄積を目的として,引き続き継続する.地質データについては,数値解析の中で取り扱い可能な具体的な地中の3次元構造データの作成に着手する.また,解析プログラムについては,Hovland法と簡易Bishop法を用いた解析プログラムに雨水の浸透や地表流を表現可能なモデルの導入を進める.
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