研究課題/領域番号 |
21H01584
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
若井 明彦 群馬大学, 大学院理工学府, 教授 (90292622)
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研究分担者 |
佐藤 剛 帝京平成大学, 人文社会学部, 教授 (00468406)
木村 誇 愛媛大学, 農学研究科, 助教 (90758559)
蜂屋 孝太郎 帝京平成大学, 人文社会学部, 准教授 (40540381)
高橋 啓 福岡工業大学, 情報工学部, 准教授 (70595280)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 斜面 / 降雨 / 崩壊 / 地下水位 / 観測 |
研究実績の概要 |
今年度においては,熊本県阿蘇市内の火山灰で覆われた牧草地の斜面を観測地として選定し,降雨期の斜面変動の兆候を捉えるためのセンサーの設置,ならびにそれに先立つ地内の地形・地質調査を実施した.本斜面の特性を考慮すると,孔内傾斜計と間隙水圧計を設置することで,堆積物を継続的に観測し,黒ぼく層の流動変形がどの程度の時間オーダーで進むのか検討するとともに,表層崩壊に至る機構を降雨浸透特性から議論することが防災上求められる. 本研究を実施する上で,ばらまき型センサーを搭載した全斜面的監視システムを斜面の適切な位置にインストールすることが重要である.そこで,レーザー測量機能を搭載したドローンを用いて高精度の地形図を作成した.この地形図の判読により表層崩壊の分布図を作成することで今後崩壊が発生する可能性の高い位置を推定,当該斜面にばらばき型センサーを設置した.また,複数期にわたってレーザー測量を実施することで,差分をとることで斜面変動にともなう変位量の計測を試みた.現地に設置したのは,孔内傾斜計,間隙水圧計,土壌水分計である.また,斜面内部の構造を把握するため,土質試験,サウンディングを実施した. 観測データに基づく斜面崩壊の早期警戒アルゴリズムを開発するための基礎検討として,予備的な観測データに基づいてセンサーノードの不良箇所の特定,撤去を行うとともに,Plaxis(FEM計算ソフト)の導入及びPythonとの接続を完了させた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
各種センサー類をおよびカメラを2022年5月に観測サイトに設置した上,リアルタイム観測の試行を開始できたことは,研究の全体計画の遂行としては順調に進んでいると評価される.なお,6月末に伝送ノードが故障したため修理を行って,10月に観測を再開したことや,土壌水分センサを埋設した露頭の表面が凍上現象の影響で剥離してしまったことなどいくつかの不具合があったが,2023年度における本格的な観測に向けて良い教訓が得られたものと考えられる.以上より,それぞれの研究項目がいずれもおおむね順調に進展している.
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今後の研究の推進方策 |
引き続き,観測手法および得られたデータの処理方法について検討を進める.また,観測斜面は民間所有地であるため,必要に応じて引き続き地権者に対して研究趣旨の説明と用地使用の許可をいただく必要がある.地権者と協議の上,観測に伴って生じる種々の事象を想定した安全管理についても徹底する. なお,昨年度は,航空レーザー測量データを用いた樹高-樹木密度分布の解析結果を検証するため,空中写真判読により過去数十年間における植生被覆の変遷を詳しく調べるとともに,現地調査によって現在の植生繁茂状況等を記録した.次年度はさらに樹高などの現地測定結果も加えて航空レーザー測量データ解析結果の精度検証を行うとともに,本科研費研究で別途実施しているUAV測量データにこの解析手法を適用することを試みる。
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