本研究は土石流災害の防止軽減を目的として、流域の土地利用を考慮した上で、下流で被害を生じない「無害化」した土砂の流出方法を検討するものである。まずは、災害事例の整理や現地調査並びに高解像DEMを利用して土地利用の状況を把握し、さらに、水理実験から得た新たな知見を組み入れた数値解析モデルを構築して、観測を実施してきた流域を対象として新たな方法の検証・改善を行う予定であった。 今年度は広島県内で土砂災害が発生したエリアを対象として高解像度DEMを活用して山間部の土地利用を把握し、土地利用形態の整理にとりかかっていた。また、山間部だけでなくさらに下流の土砂・洪水氾濫が発生する恐れのある範囲までを対象とできるよう準備を進めていた。さらに、水理実験に使用する実験水路の改良を進めつつあった。同時に、実験結果を反映した新たな数値シミュレーション法の開発にも着手していた。 残念ながら、9月に研究の中心的役割を担っていた研究代表者の長谷川が亡くなったため、この研究を継続できなくなり、成果をあげることはできなくなった。
|