研究課題/領域番号 |
21H01604
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
堀川 敬太郎 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 准教授 (50314836)
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研究分担者 |
中村 暢伴 大阪大学, 大学院工学研究科, 教授 (50452404)
山田 浩之 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), システム工学群, 准教授 (80582907) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 水素 / アルミニウム合金 / 破壊 / 動的計測 |
研究実績の概要 |
R4(2022)年度では,現在までに開発準備を進めている材料変形・破壊時の動的水素の定量計測システムを完成し,計測条件の最適化を図った。これまでの実証予備実験は,所有する昇温脱離分析の検出器を代用し,汎用の縦型材料試験機に接続した代替的な試行で限定的に行ってきた。そこで,本研究では,試験容器,低ひずみ速度試験装置(SSRT),半導体水素ガスセンサーガスクロ(SGC),デジタル画像相関法(DIC),を新規に組み合わせることで,材料変形・破壊時の動的計測に特化した新たな水素定量計測システムを構築した。システム開発においては,試験片容器内に導入するガスの種類や流速などを変化させた中で,ひずみ速度を変えた低ひずみ速度材料試験を行い,水素放出の定量化に対する再現性を確認する実験を様々なアルミニウム合金を用いて行った。5083アルミニウム合金では、合金中の主成分げ元素であるMgと水素との相互作用によって生じる動的ひずみ時効のタイミングと同期した水素放出がみられることを明らかにした。またノッチ付きの6061アルミニウム合金試験片を用意し、T6処理材の亀裂進展に対する水素の作用を動的に観察することを実証した。計測に成功したアルミニウム合金と同条件の試験片を大型放射光施設SPring8のX線CT計測で観察することで、内在水素の表面近傍での局在化現象を明らかにした。今年度は、完成した計測システムをX線CTと連動できる材料試験装置を新たに設計し、アルミニウム合金内部の亀裂進展と水素放出の量と対比させて考察することで、アルミニウム合金の水素脆化機構の解明に繋げる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り,試験容器,低ひずみ速度試験装置(SSRT),半導体水素ガスセンサーガスクロ(SGC),デジタル画像相関法(DIC),を新規に組み合わせることで,材料変形・破壊時の動的計測に特化した新たな水素定量計測システムを構築した。システム開発においては,亀裂の発生や伝播の過程も捉えることができるように、高速度カメラのシステムも組み込み、試験片容器内に導入するガスの種類や流速などを変化させた中で,ひずみ速度を変えた低ひずみ速度材料試験を行い,水素放出の定量化に対する再現性を確認する実験を様々な高強度アルミニウム合金を用いて行った。
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今後の研究の推進方策 |
開発した横型低ひずみ速度試験装置(SSRT),半導体水素ガスセンサーガスクロ(SGC),デジタル画像相関法(DIC),を新規に組み合わせることで,材料変形・破壊時の動的計測に特化した新たな水素定量計測システムを構築した。このシステムを発展的に改良させて、大型放射光施設SPring8でのX線CT実験と連動して計測できるような新たな材料試験システムの構築を行う。あらかじめNi-PめっきやZnめっきの手法で局所的に水素を吸蔵させたAl-Zn-Mg系合金内部の亀裂発生部からの水素の情報を取得する。水素の有無による亀裂進展速度を比較することで、亀裂伝播に対する水素の作用とその量を明確にすることを今後の計画と知る。
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