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2022 年度 実績報告書

液相法による硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質合成の化学

研究課題

研究課題/領域番号 21H01610
研究機関北海道大学

研究代表者

忠永 清治  北海道大学, 工学研究院, 教授 (90244657)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード硫化物固体電解質 / 全固体電池 / 液相法
研究実績の概要

本研究では、リチウムイオン伝導性硫化物固体電解質の液相法での合成における化学を総合的に明らかにすることを目的としている。
本年度は、昨年度に引き続き、Li2S、P2S5およびLiClなどを出発原料、アセトニトリルおよびテトラヒドロフランを溶媒して用いたサスペンション法およびサスペンション法と溶解・再析出法を組み合わせた液相法によるLi3PS4およびLi6PS5Clなどの硫化物系固体電解質の合成について検討をおこなった。さらに、新たな取り組みとして、異なる機械的特性の付与、あるいは、より高いイオン伝導性の高い固体電解質の合成を目標として、ヨウ化テトラメチルアンモニウム(TMAI)のような有機カチオンを含む無機-有機ハイブリッド系固体電解質の合成を試みた。
溶解・再析出法における合成においては、様々なアルコールを用いて合成を行うことにより、前駆体における硫化物とアルコールの反応性が生成物における酸素導入と関連があることを明らかにした。
TMAIを含む新規無機-有機ハイブリッド固体電解質をボールミル法および液相法により合成を行った。得られた固体電解質は非晶質であり、TMAIの含量が増えるに従って結晶化温度は低下した。TMAIの含量が少ない場合には、イオン伝導度は大きく減少しないことを確認した。ただし、メカノケミカル法で合成した電解質に比べて、液相法で合成した固体電解質はイオン伝導度が低い傾向にあり、今後、液相合成方法についてさらに検討を進める。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

前駆体における硫化物とエタノールの反応が生成物における酸素導入と関連があることを明らかにするなど、硫化物固体電解質の液相合成における化学反応における新たな知見を見出している。

今後の研究の推進方策

2023年度は、2022年度に引き続き
1.硫化物前駆体の液相中での反応の基礎的理解
2.溶液中化学種および前駆体錯体の構造と最終的に得られる結晶構造との相関の解明
を中心に検討を行う。
物質系としては、引き続き、Li2S-P2S5系およびLi2S-P2S5系に第3成分、特に、ハロゲン化リチウムを加えた複合系について検討を行う。反応の基礎的知見を得るために、様々な溶媒について、P2S5、Li2Sの溶解挙動や反応過程の追跡を行う。
一方、液相法の特徴を生かした新規結晶相の合成、あるいは新規非晶質固体電解質の合成と評価に取り組む。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 1件、 招待講演 3件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Liquid-phase Synthesis of Sulfide Electrolytes and Synthesis Mechanism2022

    • 著者名/発表者名
      MIURA Akira、CALPA Marcela、ROSERO-NAVARRO Nataly Carolina、TADANAGA Kiyoharu
    • 雑誌名

      Journal of the Japan Society of Powder and Powder Metallurgy

      巻: 69 ページ: 95~98

    • DOI

      10.2497/jjspm.69.95

    • オープンアクセス
  • [学会発表] Preparation of organic cation-doped LiI-Li2S-P2S5-based hybrid solid electrolytes2023

    • 著者名/発表者名
      ファン トン、常盤 輝、掛須 雅子、三浦 章、忠永 清治
    • 学会等名
      電気化学会第90回大会
  • [学会発表] Preparation of sulfide-based solid electrolytes using solution process for all solid state battery2022

    • 著者名/発表者名
      Kiyoharu Tadanaga
    • 学会等名
      26th International Congress on Glass (ICG2022)
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 液相プロセスを用いた全固体電池用硫化物固体電解質-Si負極複合体の作製2022

    • 著者名/発表者名
      常盤輝・マルセラカルパ・三浦章・ナタリーカロリーナロゼロナバロ・忠永清治
    • 学会等名
      日本化学会北海道支部2022年夏季研究発表会
  • [学会発表] 液相法による硫化物系固体電解質の合成と全固体リチウム電池への応用2022

    • 著者名/発表者名
      忠永清治
    • 学会等名
      第83回応用物理学会秋季学術講演会
    • 招待講演
  • [学会発表] 液相プロセスによる硫化物固体電解質-Si負極複合体の作製と全固体電池への応用2022

    • 著者名/発表者名
      常盤 輝、カルパ マルセラ、ロゼロナバロ ナタリーカロリーナ、三浦 章、忠永 清治
    • 学会等名
      第63回電池討論会
  • [学会発表] Inorganic Material Synthesis for Electrochemical Devices using solution processes or low temperature processes2022

    • 著者名/発表者名
      Kiyoharu TADANAGA
    • 学会等名
      MIRAI2.0 Research & Innovation Week
    • 招待講演
  • [学会発表] 液相法によるLi-P-S-O系固体電解質の合成2022

    • 著者名/発表者名
      柴 駿一郎・ 三浦 章・忠永 清治・寺井 恒太・ 宇都野 太・ 樋口 弘幸
    • 学会等名
      第48回 固体イオニクス討論会
  • [図書] Solid State Batteries Volume 1: Emerging Materials and Applications Chapter 13 "Sulfide-Based Solid-State Electrolytes", pp 319-3512022

    • 著者名/発表者名
      Rosero-Navarro N. C.、Calpa M.、Miura A.、Tadanaga K.
    • 総ページ数
      440
    • 出版者
      American Chemical Society

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公開日: 2023-12-25  

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