研究課題
TiO2(110)基板に担持された白金ナノ粒子は代表的な不均一触媒であり、排ガスの非毒処理や水素に関わる選択的反応の促進など、幅広い触媒として産業的にも重要な材料系である。同時に最も研究が行われてきた触媒モデル系材料でもある。今年度は、実際に利用される高温領域において、白金ナノ粒子の原子ダイナミクスに関する実験を実施した。これまでに培ってきた、清浄な試料作成技術および高精度・高安定な電子顕微鏡制御技術を組み合わせることにより、触媒活性時における白金ナノ粒子の原子ダイナミクスの追跡を行った。我々の研究グループで独自開発を行っている高速電子顕微鏡法では、原子分解能を保持しつつ、40ミリ秒(512×512ピクセル)の高い時間分解能での観察が可能である。今年度は、白金ナノ粒子の凝集過程のごく初期段階を明らかにするため、比較的小さな白金3量体に注目した。高速電子顕微鏡法では、結像に関与する電子ドーズが極端に少ないため、白金単原子の観察が困難となる。そこで、時間平均像からTiO2基板のコントラストを取り除くこと画像処理法を検討し、白金3量体の位置変化を特定した。さらに、第一原理計算と組み合わせることにより、2次元投影像から白金3量体の3次元原子構造を再生する手法も開発した。以上より、白金3量体の3次元ダイナミクスの追跡に成功し、白金3量体は白金単原子と比較すると拡散速度が数桁小さくなることや特定の原子サイトを避けながら拡散する様子が明らかとなった。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 8件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (30件) (うち国際学会 13件、 招待講演 12件)
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