研究実績の概要 |
使用時に強力な接合強度を持つ一方で役目を終えると簡単に剥離できる解体性粘接着技術の開発は急務となっている。しかしながら、材料中の表面に加えて深部の接着性が剥離時に低下する有効な材料・剥離技術の開発には目立った進展がみられていない。本研究では、この課題に対して①光・超音波(音)応答性物質と超音波素子、②光と音による高分子形状変換法、さらに③材料表面・深部における接合箇所の光と音による剥離技術を開発することによる解決を目指した。 初年度には、光応答性ヘキサアリールビイミダゾール(HABI)に着目し、HABIが導入された様々な高分子物質を合成した。HABI中には結合解離エネルギーの小さいイミダゾール間の共有結合が含まれるため、エネルギーの大きい超音波刺激をピンポイントに作用させることで光刺激同様に結合開裂を引き起こせると考えた。そこで、周波数の異なる複数の超音波素子の開発についても進め、共振周波数(0.5, 1 , 1.5, 2 MHz)の異なる複数の超音波素子を製作した。その結果、1 MHz以上の共振周波数の素子に焦点の形成が認められ、とくに1 MHzの素子は、視認性を損なわない程度に材料中の微小領域にエネルギーを集中できる焦点サイズ(数ミリメートル程度)の超音波を照射できることが分かった。
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