研究課題
硬さと柔らかさの両方を兼ね備え、状況に応じて硬軟が等温可逆的に変化する材料は人間共存型ロボットをはじめとして様々な応用が期待される。この候補材料として、磁性粒子を機能発現の要素とする濃厚系磁性コロイドの開発に取り組む。磁性コロイドは無磁場下では流動性を示し「柔らかさ」を呈する。一方、磁場を印加すると磁性粒子が一斉に磁場の向きに配列しようとするが、粒子濃度が高いため粒子同士が絡み合って動けなくなり、磁性コロイドが固化すると予想した(ここではこの現象をジャミング・ライク転移と定義した)。このときの「硬さ」は粒子濃度や磁場強度に加えて多面体の形状に依存する。これらのパラメータと「硬さ」との関係を明らかにするとともに、人が感じる硬軟をプログラムできるコロイド材料の創製を目指す。本年度はR3年度に確立した多面体マグネタイト磁性粒子合成を用いて、またR4年度に確立した濃厚系磁性コロイドの調製法およびレオロジー評価手法を用いて、磁性コロイドの硬軟プログラミングの可能性を調査した。その結果、多面体粒子形状の効果は高い粒子濃度域で発現した。さらに、ジャミング・ライク転移における固化性能として、静磁場下での動的粘弾性測定によりせん断剛性率を評価した。その結果、最大~107Paが得られた。人の感じる硬さの最大は骨の剛性率であり、その値より3桁程度低い。ただし、装置の工夫により、その値に近づけることができた。本研究で作製した磁性コロイドとその磁性コロイドを挿入した装置設計により、硬さと柔らかさの両方を兼ね備える硬軟プログラミングの可能性が示された。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2024 2023 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 6件、 招待講演 4件) 備考 (1件)
Journal of Physics: Condensed Matter
巻: 36 ページ: 125801
10.1088/1361-648X/ad12fc
RSC Advances
巻: 14 ページ: 75-82
10.1039/d3ra07344k
https://www.jwri.osaka-u.ac.jp/research/research04_5.html