本研究にて実験,解析の両観点から,引張,シャルピー衝撃値といった各種力学特性に対し各制御パラメータが及ぼす影響度を明らかにした.具体的に,炭化物の粒径,分布が非常に強い影響を及ぼすとともに,これに加えさらに焼き入れ前の旧オーステナイト粒径が力学特性に強い影響を及ぼすことが示された.実際の組織観察結果と突き合わせることにより,この解析結果の妥当性についても確認された.このように本研究の遂行により学問的,実用的両観点から非常に大きな進展を得ることができ,実用化にまでつなげることができた.本鋼材のさらに広範な普及に向け求められるのは使用時の「長期信頼性」であり,引き続きこの点について検討を進める.
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