生体用インプラント材料として重要な準安定なbcc構造を有するTi合金の低弾性率化においては、弾性率増加を引き起こす六方晶構造のω相への相変態(ω変態)の抑制が重要である。本研究では、三元系Ti合金における室温近傍での時効に伴って生じる無拡散等温ω変態が、構成元素間の原子間相互作用を反映した凍結された合金組成の統計的なゆらぎに支配されていることを明らかにした。さらに、合金組成のゆらぎを制御することで無拡散等温ω変態の抑制が可能であることを明らかにした。これが本研究成果の最も重要な学術的意義であり、得られた成果はTi合金の低弾性率化への貢献という点において、社会的にも重要である。
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