研究課題/領域番号 |
21H01661
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
轟 直人 東北大学, 環境科学研究科, 准教授 (10734345)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 水電解 / 酸素発生反応 / ルテニウム酸化物 / 界面 / 格子歪み |
研究実績の概要 |
本年度は、触媒-担体二相界面における相互作用を調査するためのモデルとして、Ru酸化物触媒/酸化物中間層/Ti酸化物からなる単結晶ヘテロ構造を用い、その酸素発生触媒特性を評価した。各層の作製にはアークプラズマ蒸着法を用い、構造評価には走査型電子顕微鏡、in-planeX線回折、原子間力顕微鏡、X線光電子分光法を用いた。触媒活性は窒素パージした過塩素酸溶液中で分極曲線を測定し評価した。触媒耐久性は定電流密度でのクロノポテンショメトリーにより評価した。 酸化物中間層はIr酸化物、Sn酸化物とした。初期の酸素発生触媒活性はIr酸化物を中間層とした場合は、中間層なしの場合とほとんど変わらなかったが、Sn酸化物を中間層とした場合に活性が大幅に向上した。電気化学インピーダンス測定、およびin-planeX線回折の結果から、Sn酸化物を中間層とすることにより、触媒/Ti担体間の抵抗が低減するだけでなく、Ru酸化物触媒層に加わる圧縮ひずみが緩和され、触媒活性そのものも向上することが明らかになった。また、クロノポテンショメトリーによる耐久性評価では中間層なしの場合に対し、Ir酸化物、Sn酸化物を中間層とした場合、過電圧の上昇幅が小さくなった。中間層なしの場合インピーダンス測定で評価した電極抵抗が増加していた一方、中間層ありの場合電極抵抗はほとんど変化しておらず、中間層を挿入することによりRu酸化物触媒/Ti酸化物担体間の界面が安定化することが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初は二層界面モデルの研究を2年目(2022年度)前期までとしていたが、2021年度で既に目的とする成果が得られたことから、2年目後期より開始予定であった三相界面モデルの研究を開始した。また、二相界面モデルで得られた成果は現在論文執筆中である。よって、本研究計画は当初の計画以上に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
アークプラズマ蒸着法を用いて三相界面モデルを作製し、担体/触媒/電解液間の三相界面が酸素発生反応活性におよぼす影響を明らかにする。
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