研究実績の概要 |
本年度は、RuO2/TiO2触媒の水電解酸素発生反応における触媒-担体-電解液三相界面の影響を評価するために、RuO2試料の作製条件を昨年度から見直し、Nb:TiO2単結晶基板上に島状RuO2触媒が堆積したモデル触媒を用いた研究を行なった。RuO2触媒は金属Ruをアークプラズマ蒸着法を用いて基板上に担持し、それを大気中で高温熱処理することで得た。原子間力顕微鏡(AFM)により基板の面方位に対応してRuO2が単結晶の島状構造を有しており、数百nm程度の電気化学測定に適したサイズに成長していることを確認した。触媒特性評価は走査型電気化学顕微鏡(SECM)を用いて行なった。SECMにより作製したモデル触媒の形状像および酸素発生反応活性に起因する電流像を得ることに成功した。更に、島状構造の測定箇所、すなわちテラス部とステップ集積部で酸素発生反応活性が著しく異なることを見出した。本研究では基板/触媒/電解液の三相界面で反応が促進する可能性を想定していたが、本測定においては触媒/電解液の二相界面でより高い活性が観測された。当初期待した結果では無かったものの、三相界面と二相界面の役割を明らかにした、という点で当初目的を達成したと言える。また、本研究では二相界面における結晶面の影響を分析するために、異なる面方位の単結晶基板にRuO2薄膜を堆積し、触媒活性・安定性に及ぼす結晶面の影響も調査した。その結果は、(100)面が(110), (001)面に対し大幅に高い活性、安定性を示すことが明らかになった。本研究成果より、(100)面を多く有するナノ構造触媒が実用触媒として高機能を示す可能性が示唆された。
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