研究実績の概要 |
合金元素としてNi, Cr, Si, Ti, Zn等をそれぞれ含むAl合金を鋳造、熱間圧延、冷間圧延を行うことで製造した。合金元素量は1~5 at%の間で変化させた。るつぼに純Alインゴットと添加元素ブロックを入れて、大気炉で加熱・溶解させ、溶湯を攪拌した後、金型へ鋳造した。その後、熱間圧延を実施して凝固偏析の低減を図り、最終的には冷間圧延で加工硬化させ、長さ100×幅5×板厚2mmの棒材に仕上げ、Al/Fe重ね接合における溶加材として利用した。Al/Fe接合界面へのNi添加に関しては、Ni添加Al合金溶加材の使用のほかに、Ni電解めっき鋼板と純Al板の接合も試みた。また、Ni+SiおよびNi+Zn複合添加に関しては、SiおよびZn添加Al合金溶加材とNi電解めっき鋼板を併用した。鋼の上に市販のAl合金と元素添加Al合金溶加材を配置し、ティグアークブレージングを用いて、Al/Fe接合体を作製した。Al/Fe接合体の引張せん断試験を実施した結果、全ての接合体は接合界面で破断し、接合強度は元素添加に伴い増加した。合金元素の単独添加の場合にはNi添加が最も効果的に強度を上昇させたが、Ni+SiやNi+Znの複合添加では更なる強度上昇が達成された。接合界面を観察した結果、いずれもAl-Fe系金属間化合物からなる界面層が確認され、Ni単独添加、Ni+Zn複合添加の場合には主にFe2Al5相が、Ni+Si複合添加の場合にはAl-Fe-Si系金属間化合物も観察された。変形中の界面層におけるき裂の発生・進展挙動解析をデジタル画像相関法にて実施したが、塑性変形をほとんど伴わずに生じることが明らかとなった。
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