研究課題/領域番号 |
21H01670
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
深見 一弘 京都大学, 工学研究科, 准教授 (60452322)
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研究分担者 |
北田 敦 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (30636254)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 陽極酸化 / 欠陥 / イオン照射 / シリコンカーバイド / ダイヤモンド |
研究実績の概要 |
昨年度は当初の想定以上に研究が進展したことから,本年度は新たな試みとしてシリコンカーバイドと構造類似性の高いダイヤモンドの陽極酸化処理に取り組んだ。市販のボロンドープダイヤモンドに対し,高エネルギーのSi(II)イオンを照射し,台結晶構造内に欠陥の導入を試みた。ラマン測定を実施したところ,イオン照射前のボロンドープダイヤモンドではsp3炭素結合に由来する散乱ピークが確認されたのに対し,イオン照射後の試料ではsp3以外にsp2炭素結合に由来する散乱ピークが確認できた。このことから,ダイヤモンドの結晶構造内にsp2炭素結合に相当する欠陥導入に成功した。高エネルギーSi(II)イオン照射を行ったボロンドープダイヤモンドを作用極に用い,三電極式電気化学セルを用いて陽極酸化挙動を調査した。イオン照射を行っていないボロンドープダイヤモンドに比べて,イオン照射を行った場合には酸化電流の立ち上がり電位が卑にシフトするとともに,より高電流密度で酸化反応が進行することが分かった。 一方,ポーラスシリコンカーバイドへの金属電析による複合材料化については,電析する金属の検討を進めた。優れた機械特性で知られるハイエントロピー合金やミディアムエントロピー合金の電析について検討を進め,water-in-oil型エマルションを用い,水相に増粘剤を,油相に乳化剤を添加することによってCoNiCuミディアムエントロピー合金の平滑電析を可能にした。また,より機械特性に優れるCrCoNiミディアムエントロピー合金の電析についても検討を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新たな試みとしてボロンドープダイヤモンドの陽極酸化に取り組み,一定の成果が得られた。また,当初計画していたポーラスシリコンカーバイドへの電析について,電析対象をハイエントロピー合金あるいはミディアムエントロピー合金に定め,その電析方法を開拓することができた。これらの成果から,概ね順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
初年度に作製が可能となったポーラスシリコンカーバイドを電極として用い,ハイエントロピー合金やミディアムエントロピー合金の電析を行う。これにより従来にない強度と靭性を両立するシリコンカーバイド・合金複合材料の創製に取り組む。一方,電子材料への応用を目指して,陽極酸化によるシリコンカーバイド表面へのSiO2形成の高精度化に取り組む。特に,シリコンカーバイドとSiO2の界面に生成するSiOxCyのような炭素を含む界面層について,その形成機構を明らかにするとともに,その生成を回避する方策について検討を進める。
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