研究課題/領域番号 |
21H01682
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
安田 幸司 京都大学, 工学研究科, 特定准教授 (20533665)
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研究分担者 |
竹田 修 東北大学, 工学研究科, 准教授 (60447141)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 炭酸塩 / 溶融塩 / 物理化学 / 銅 |
研究実績の概要 |
本研究では、超硬工具の成分元素ならびに酸化剤として利用する元素について、炭酸溶融塩中における酸化/還元ならびに酸/塩基の反応の物理化学過程を解明し、タングステンの新リサイクルプロセスの構築へとつなげることを目的とした研究を行った。当該年度においては、Cu+イオンの溶解度測定、Cu+イオンの拡散係数の導出、各種超硬工具スクラップの酸化溶出などを行った。 (1) 900℃のAr-X%O2-600ppmCO2雰囲気中において、Au作用極が示すO2/O2-電位とNi/NiO参照極が示す電位との差について酸素分圧依存性を測定し、Ni/NiO参照極が示す電位の妥当性を評価した。 (2) 900℃のAr-600ppmCO2雰囲気中における溶融Na2CO3へのCu2Oの溶解度を測定した。また、前年度に測定したCu+/Cu電位の結果と組み合わせることで、溶融Na2CO3中におけるCu2Oの活量係数とCu+イオンの化学ポテンシャルを導出した。 (3) 900℃の溶融Na2CO3-Cu2O中でサイクリックボルタンメトリー(CV)測定を行い、前年度に測定した同溶融塩の密度の値と組み合わせることで、Cu+イオンの拡散係数を導出した。 (4) Cu2Oを添加したNa2CO3溶融塩中で、小型WC-Coチップ、大型WC-Coチップ、粉末スクラップといった各種の超硬工具について、酸化溶解を行った。副反応として析出する金属Cuの剥離、ならびに浴中のイオンの攪拌の促進を目的として、回転機構を有した反応管での酸化溶解を行ったところ、Cuの剥離や反応の高速化を達成することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「酸化剤の酸化還元電位と拡散係数の測定」と「金属酸化物の溶解度の測定」の2つの課題については、Cu系での研究が完了している。次年度は、Cu系で確立した手法を用い、別の酸化剤についての酸化/還元ならびに酸/塩基の反応解析を行う予定であり、順調に進展している。「超硬工具中のタングステンの高速酸化溶出」の課題については、本年度で完了した。当初の計画通り、最終年度となる次年度で実施を完了する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
前年度までに確立した参照極ならびに測定法をもとに、Cu2O以外の酸化剤候補となる酸化物を構成する金属イオンについて、溶解度・拡散係数・化学ポテンシャルの導出を行う。具体的には、Fe、Ni、Coについて測定を行う予定である。
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