研究課題
ニッケル(Ni)を主成分とする卑金属系触媒による炭化水素改質反応では,活性金属種のナノ粒子化,および高温反応条件下でのナノ粒子状態の維持が,触媒活性劣化の抑制に対する最重要課題である.本研究では超微粒子状態のNiを,耐水熱安定性を有するシリカ系多孔質材料であるMFIゼオライト(Silicalite-1,以降S-1と略記)に内包状態で固定化した触媒(Ni@S-1触媒)を開発し,同触媒によるメタンの二酸化炭素改質反応(Dry Reforming of Methane,以降DRM反応と略記)とエタノールの水蒸気改質反応(Ethanol Steam Reforming,以降 ESR反応と略記)を実施した.DRM反応において,含浸法触媒(Ni/S-1触媒)では,Ni微粒子の熱凝集と炭素析出が顕著であった.一方,Niフィロシリケートを前駆体として調製した,Ni@S-1触媒は,850℃の高温度反応条件における優れた熱的安定性と650℃の低温度反応条件における炭素析出抑制を示した.Ni粒子サイズは3~4nm程度であり炭素析出抑制のためには5nnm以下のNi粒子が不可欠であることが明らかとなった.バイオマスタールのモデル物質としてエタノール水溶液を取り上げ,Ni@S-1触媒によるエタノールの水蒸気改質反応(ESR反応)を実施した.Ni/S-1触媒と比較し,600~800℃ではNi@S-1はより低温で反応が熱力学平衡まで達しており,Ni@S-1は優れた活性を示すことが明らかとなった.さらに,Ni@S-1は900℃の高温条件下での加速劣化試験後もNi種の微粒子状態を維持し優れた耐水熱安定性を有することが示された.再生処理前後におけるNi種の安定性評価では,Ni@S-1は再生処理後もESR活性を維持したことから優れた再利用性を示した.
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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