研究課題/領域番号 |
21H01702
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
山本 徹也 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (10432684)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ナノ粒子 / メラミンフォーム / 空隙率 / 紫外線照射 / 収率 |
研究実績の概要 |
メラミンフォーム(MF)を反応器として紫外線照射によるスチレンモノマーとラジカル開始剤である過硫酸カリウムのソープフリー乳化重合を行い,ポリマー微粒子のナノサイズ化とその収率の向上について検討した。紫外線照射によりラジカル重合が促進され,反応温度を低下させることができた。その結果,反応器内のモノマーの滞留時間が改善され,収率の向上(80%以上)に成功した。更にこの紫外線照射の条件下で,MFを圧縮することで空隙率を変化させ(0.6~0.9),高収率を維持したままナノ粒子のサイズコントロール技術の開発に成功した。具体的には,空隙率を小さくすることで粒子径が小さくすることができる。これは空隙率の低下により,MFの流動抵抗抑制効果が強まったためである。反応器内の流動が抑制されると,粒子の凝集成長が阻害され,粒子のナノサイズ化が達成される。また,合成したナノ粒子の標準偏差については,空隙率が小さいほど,すなわちMFの圧縮するほど,小さい値を示し,サイズの揃ったナノ粒子が調製できた。これはMFの網目サイズが圧縮により,均一になったことに起因している。網目のサイズが均一になる理由については,圧縮による力がMFに加わることで大きい網目ほど圧縮の効果を受けやすく,空隙率が0.6を示す圧縮条件下ではMF内の網目構造が空隙率が0.9の時より均一になったためであると考えられる。その結果,MF内でのソープフリー乳化重合の場所依存性が解消され,均一なナノ粒子が合成できたと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
紫外線照射によりラジカル重合反応を促進することでナノ粒子の収率を大幅に向上させることに成功した。これらの成果を37th European Colloid Interface Society Conference (ECIS2023)でKeynote講演として発表した。また,関連する学会における学生らの研究成果発表で受賞するなど研究成果が評価されている。
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今後の研究の推進方策 |
メラミンフォーム反応器の空隙率が0.6~0.9なので,さらに小さい空隙率を実現する反応器の内部構造を設計し,界面活性剤フリーナノ粒子のサイズコントロール技術を開発する。
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備考 |
37th European Colloid Interface Society Conference (ECIS2023)のKeynote講演で研究成果報告を行った。
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