研究課題
反応器内部にガラスビーズを充填し,空隙率を0.45に設定し,ガラスビーズ間のマイクロ・ナノ空間を利用したソープフリー乳化重合を行った。原料はスチレンモノマーと開始剤である過硫酸カリウムである。紫外線照射によりラジカル重合を促進し,反応温度を40℃で重合を行うことができた。その結果,収率を80%以上維持しながら,ナノ粒子を合成することができた。特にガラスビーズのサイズを小さくする,具体的には15~30マイクロメートルのものを使用することで,空間をより細かく分割することができ,平均径が27 nmのポリマーナノ粒子を界面活性剤フリーで合成することに成功した。これらの現象を解析するため,ガラスビーズ充填層をX線CTで3次元観察を行い,隙間空間の画像解析による定量的評価と隙間のCFDによる流動解析を行った。その結果,ガラスビーズ径を小さくすることで隙間空間の分割に成功し,より小さなマイクロ・ナノ空間を創成することができたこと,小さな空間内の溶媒の対流がガラスビーズの壁面の効果により抑制されていることが明らかになった。これはガラスビーズと溶媒(水)間の水素結合が一因であると考えらえる。対流が抑制されると重合で析出したナノ粒子の運動も抑えられるので,衝突頻度関数に起因する凝集による成長が阻害される。これらの実験と解析の結果から,充填するガラスビーズ径で重合反応で得られるナノ粒子のサイズをコントロールする技術を開発することに成功したと言える。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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