研究課題
前年度までにマイクロ流路内に生じるセグメント流のセグメント長さを流量を変化させることなく制御する技術を獲得し、さらにセグメント長さが物質移動速度に及ぼす影響を明らかにした。本年度は、セグメント流を利用して共沈法によるマグネタイトナノ粒子の合成を実施し、セグメント長さが粒子径に及ぼす影響を調査した。共沈法では二価と三価の鉄イオンを含む水溶液に水酸化ナトリウムを添加してマグネタイトを生じさせる。本研究では鉄イオンを含む水溶液と空気を合流させてセグメント流を生じさせ、その後水酸化ナトリウム水溶液と合流させることでマグネタイトのナノ粒子を得た。X線回折による解析によって得られた粒子がマグネタイトであることを確認し、磁性を持つことも確認した。二価と三価の鉄イオンの比や合成温度を変化させた実験を通じて最適な合成条件を明らかにした。得られたマグネタイト粒子の大きさは6nm程度であった。セグメント長さを短くすると平均径の変化は見られなかったが、粒子径の分布が狭くなる傾向がみられた。従来の共沈法では価数が異なる鉄イオンを含む水溶液が原料として用いられる。本研究では、二価のイオンのみを含む水溶液を原料として共沈法によるマグネタイトの合成を試みた。提案法では、原料水溶液を空気と接触させてセグメント流を生じさせ、空気中の酸素によって二価のイオンの一部を三価に変換したのちに水酸化ナトリウム水溶液を導入する。検討の結果、水酸化ナトリウム水溶液と接触させるまでのセグメント流の流路を適切に制御することでマグネタイトナノ粒子の合成に成功した。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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Chemical Engineering Journal
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